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洗濯に洗剤は必要不可欠なのか?
        炭酸ナトリウムさっぱり洗濯のおすすめ

2023年3月13日更新

合成洗剤による洗濯をやめて、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)による洗濯(アルカリ洗濯とも言われますが)を、おすすめしたいと思います。炭酸ナトリウム洗濯の体験レポートです。
炭酸ナトリウムをどれくらい使ったらいいのかも、PH=アルカリ度から検証してみました。(2年間の体験によって、炭酸ナトリウムは、0.1%(水30リットルに30グラム)が良い具合ではないかと思いました。0.04%から訂正します。)

目次


「洗剤残りゼロ」の衝撃-ゼロというのにクサすぎる

洗剤投入洗濯に洗剤を使うのは常識、当たり前のことです。洗剤なしで一体どうやってきれいにできるのか?! 私も物心ついてからずうっとそうしてきました。
しかし、2年前の転換点でその考えが実は大変な誤りであることを発見したのです。実は合成洗剤は洗濯物にこびりついて離れないものだ、洗剤残りがものすごいものだ、ということを。

2年前というのは、洗剤がなくなってきたので買おうと思ったら、今まで使っていたものが終了となり、その代替として新製品を売り出していたので、「汚れも、ニオイも、洗剤残りまでゼロ」、なるキャッチフレーズにつられて、考えもなく買ってきて、洗濯したのでした。ところが、なんと! 実態は真逆で、ニオイ(洗剤の香料)が前製品と比べてものすごくて、すすいでもすすいでも取れないではないですか!
いやはや、ニオイやら、洗剤残りやらについて、このメーカーの考えというか、感覚というか、それは私とはとんでもなくかけ離れたものだ、ということだけは、はっきりしました。

こりゃたまらんと、ゴミに出して、ニオイの弱そうなものを探して使ったのですが、前から気にはなっていましたが、もう今や、洗剤のニオイが、すごく鼻についてたまらないようになってしまいました。

すすいでもすすいでも取れないニオイ残り、その正体は洗剤付着

洗剤のにおいが残る洗濯機のおまかせモードでは、すすぎが甘い、特に洗いとすすぎの際の脱水時間が短すぎるように思ったので、これを長くして、回数も増やしてみました。少しはましになったのは確かですが、やはり「少しはましになった」程度でしかない。

「これは一体どういうことなのだろう?」1回の脱水で汚れや洗剤分が10分の1になるとしたら、さらに2回のすすぎ(と脱水)で1000分の1(=ほぼ0)じゃないのか?

少し調べてみますと、実は、合成洗剤というのは、すすいでも取れないものであることが、研究データでも出ていることが分かりました。
「洗剤と洗浄の科学」(中西茂子著、コロナ社刊)です。



少し引用してみましょう。

洗濯物が乾いたときや洗髪後に洗剤やシャンプーの匂いがするが、あれは洗剤成分が残っている証拠である。

三種のすすぎ試験が行われました

①同じ液の中で連続的に十五分間洗った場合(すすぎ水は一度だけで、換えないこと・・・海竜風注)
②三分ごとに水を換えて繰り返して五回ためすすぎをした場合
③三十リットル水を張ってから毎分十リットルでオーバーフローさせた場合
の三通りとし、その結果、洗いに使った洗剤成分が洗濯物にどれだけ残っているかを測定した

その結果がグラフにされているのですが、分かりやすいように、私なりに描き直したものを次に示します。

①連続的に十五分間
連続すすぎの洗剤残り

②水を換えて五回ためすすぎ
ためすすぎの洗剤残り

③毎分十リットルでオーバーフロー
オーバーフローの洗剤残り

「やっぱりそうなんだ、洗剤はいくらすすいでも最初の量の4分の1くらいで取れ止まって、それ以上は取れないんだ!」と、納得したわけです。 確かに、実感に近いですね。

しかし、せめて2度もすすげば何10分の1くらいにはなるのではないか、というのが常識的な期待だと思うのですが・・・・・。ましてや「ゼロ」と言われれば、もっと期待したいものです。
部屋干しのニオイも、汚れの残りというより、こびりついている洗剤に菌がたかって(環境に優しいように生分解しやすく作られてきているわけですから)、その結果だ、と考えられます。 (炭酸ナトリウム洗濯を続けてきて、今やこれは確信です)
また、人によっては洗剤で洗った肌着にかぶれることも納得できます。合成洗剤が汚れを落とすのは、汚れを溶かすだけでなく、布全体にに洗剤が付着して汚れをはねのける、というような仕組みがある気がします。汚れの鎖をはねのける、というような宣伝のイメージはここら辺に根拠があるのではないかと、想像します。

洗濯機のすすぎコースで脱水が簡単すぎるのじゃないか、とずっと思ってきましたが、これは「どうせ取れないのだから、一応形ばかりに」ということかも知れません。

メーカーさんも、洗剤残りは先刻ご承知

最初に触れた「汚れも、ニオイも、洗剤残りまでゼロ」のメーカーさん、数字はもちろん、測定方法も公開してほしい、と思っていたら、なんと、グラフがありました。ありがとうございます! 今まで(2022/1/7)気が付きませんでした。失礼ながら、無断転載させていただきます。

POINT 2 高い洗浄力とすすぎ性 より

すすぎ性が高い!_一般的な界面活性剤と繊維への残りやすさを比較して_バイオIOSは、繊維に余分な洗剤が残りません_  より)

「ゼロへ」(ゼロへ少し近づいた?)とか「繊維に余分な洗剤が残りません」(残る必要のある洗剤?)とか、何やら表現が微妙に逃げ道が用意されているようなのですが、はっきり言って上図からは洗剤残りがかなりある、ということははっきりしています。ただし、数字がないので、上図についても、Y軸が0から始まっているのかどうかもわかりません。(Y軸の最下部は「繊維に残りにくい」(0なら、「残らない」でしょう)となっていますから、少し考えれば、これは0ではないと読み取るのが普通でしょう) Y軸の原点が0でないとすると、素人目からすると、ほとんど変わらないかもしれないぞ、ということになってしまいます。

X軸をY=0(ゼロ)にして表すと、もしかしたら、こんな感じになるかも知れないですね。


誤差範囲ですね。しかし、せめて、大げさな「洗剤残りまでゼロ」は、やめてほしいです。

炭酸ナトリウムを試して、ニオイがなくなった、部屋干し臭もなくなった

炭酸ナトリウムでニオイがなくなった

で、もう市販の洗剤は止めにして、ダメ元で(炭酸ナトリウム洗濯はインターネットでの評判悪いし)、試しに手元にあるセスキと過炭酸ナトリウムを、適当に使って洗濯してみることにしました。すると、そこそこきれいになるし、洗剤のニオイもぐっとマシになって、いけそうに思えました。

セスキを使うなら、炭酸ソーダ(洗濯ソーダ、炭酸ナトリウム、ソーダ灰とも)だと使う量が少なくて済むし、かなり安そうなので、しばらくこれでやってみよう、と思いました。過炭酸ナトリウムもあるので、適当な割合で両方を混ぜて使ってみました。
するとすると、回数を経るほど、洗剤のニオイがなくなり、部屋干しのニオイもしないようになりました。(2021年秋現在では、部屋干し臭など、もう意識にも上りません)


四季がめぐって、衣替えの際に、しまっておいた衣類の特有の(洗剤が変質したような)ニオイもほとんどしません。
(炭酸ナトリウムの量、過炭酸ナトリウムとの割合、洗い方のコツ、等はまた後で述べます)

初期の最大の問題は、濁りでした。炭酸ナトリウムの炭酸分が水の中のカルシウム等の金属イオンと反応して溶けにくいものになってしまうためのようです。で、キレート剤としてクエン酸ナトリウムも使ってみました。かなりマシになりましたが、結局、炭酸ナトリウムを使う量を増やせばそれだけ濁りが増えるというわけではありません。
水中のカルシウム等の少量の金属イオンが濁りとして出てしまうと、炭酸ナトリウムをさらに増やしても濁りが増えるわけではありません。日本では少量の濁りは問題なし、としてスルーすることが適当かも知れません。また過炭酸ナトリウムを、漂白、殺菌の意味も込めて少し使っていたのですが、どうも、そのせいでも少し濁りにくくなるみたいです。

炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)商品の一例です。1キロあると、1日1回24グラムずつ使って、40日くらいもつ計算です。合成洗剤だと、1日1回30グラムずつ使うもので、800gで200円台ですから、炭酸ナトリウムは合成洗剤よりは高くつきます。小分けの食品添加物ということで、割高になるのでしょう。(もっと割安の5キロ売りとかもあります)

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部屋干し臭を防ぐには殺菌剤を使うのではなく、合成洗剤を使わないことで

雑菌を抑えて嫌な臭いを防ぐため消臭・抗菌効果のある柔軟剤、というものも出て来ました。雑菌に餌(洗剤)をたっぷり残して、次には殺菌剤入りの柔軟剤を売ろう、というのですね。それは結局、雑菌の餌を増やすだけのことです。
肌に悪そうなものを重ねて塗りたくったものを身に着けていいのか? と心配になります。
部屋干し臭を防ぐには、何より、衣類に付着して離れない合成洗剤を、使わないことです。

洗い上がりは? 「アルカリ」で大丈夫?

検査に使ったPH試験紙洗い上がりはどうなのか? というのは重要な問題です。ほとんど違いはない、というのが私の実感です。
部屋干し臭と関係があるのか、残った洗剤が変質して黒っぽい汚れになってしまうような気がするのですが、これがなくなるので、さっぱりして、合成洗剤よりもきれいになるように思います。
ただ、機械油、ワセリンなどの化学的に安定した石油系の油が付着した汚れには向いていないようです。この場合には洗剤(石けん)プラス炭酸ナトリウムが一番ふさわしいでしょう。

「炭酸ナトリウムはアルカリ性だから、布を傷めるのじゃないか?」という心配はごもっともです。私も洗濯機でガラガラ回せる肌着、普段着に限ってきました。
洗濯にあたって、中性、弱アルカリ性、アルカリ性、というのは、プロに聞きますと

(東京都クリーニング生活衛生同業組合)
6.0以上 8.0以下     中性
8.0を超えて 11.0以下  弱アルカリ性
11.0を超えるもの     アルカリ性

辺りだと言われています。

PH試験紙で図ってみますと、面白いことに、 市販の弱アルカリ性液体洗剤を普通に溶かすとPH7.0 。私が今、炭酸ナトリウムを溶かして使っている洗濯水はPH10。
市販の「弱アルカリ性洗剤」が中性、アルカリ(炭酸ナトリウム)を入れた洗濯が弱アルカリ性、ということになってしまいます。(通販で買った0.5単位のPH試験紙だし、色相判断はある意味気分なので、その辺を割り引いて、一つの目安として読んでほしいです)
ではなぜ「弱アルカリ性」と書くのか、といえば、溶かす前の洗剤が弱アルカリ性ということだろうと思います。衣類に直接つけて洗う場合は別にして、洗濯機を使って普通に溶かせば、中性洗剤も弱アルカリ性洗剤も洗濯液は中性ということですね。 ただし、粉(合成)洗剤となると違ったことになります。粉洗剤には助剤として、炭酸ナトリウムがかなり入っています。そのため、洗濯液は弱アルカリ性となります。汚れ落ちも良くなるのです。

この辺、メーカーの方で、すぐ分かるように説明してほしいですね。(中性洗剤をありがたそうに売りつけるためだろう、というのは、うがち過ぎですかね?)

炭酸ナトリウムはどれだけ使う? 少し多めに入れてPH10を確保

炭酸ナトリウム使用量






炭酸ナトリウムはどれくらいの量を入れればよいのでしょうか? 炭酸ナトリウムを水に溶かしていって、その実際のPHの変化を調べました。
それをグラフにしたものが次の図です。 (2022年8月測定)

炭酸ナトリウム濃度とPHの関係

PH試験紙は、0.5刻みの色合わせですから、判定は、大変難しいです。参考程度にしかなりません。そういうものとして、ご理解ください。

PH10になってからは、それ以上に炭酸ナトリウムを加えても、PH値は、なかなか上がりません。この切り替わり目(0.04%=洗濯機で50リットルだと20グラム)が、炭酸ナトリウムを加える目安になると思います。
しかし、この0.04%(で2年くらい続けてみました)にしますと、洗濯物を入れて、洗濯が始まると、すぐにPHは下がってしまうみたいです。PH10で洗い続けることができないようで、洗浄力に不足を感じます。そのため、洗濯が終わるまでPH10を保てるように、0.04%より多めに入れるようにすると、きれいに洗い上がります。(この量問題は2023年に修正しました) この問題は、さらに次項で。

わずかな白濁は気にしない=避ける必要はない

炭酸ナトリウム0.04%あたりから、水中の金属分による濁りが、少し出てきます。この濁りを避けたいと思って、炭酸ナトリウムの使用量を抑えてきました。(2年間) しかし、それはおかしいのではないかと、この際、よくよく考えてみました。

濁りをそれほど気にする必要はあるのでしょうか? 洗濯中に生じた濁りは、その後、一度の排水、脱水で、ほとんどなくなってしまいます。すすぎの時には、もう濁りは見えません。 もし、繊維への付着が気になるようでしたら、つけ置き洗いを避けたらよいと思います。

粉石けんや合成洗剤を使った時にも、濁りはあります。石けん(洗剤)自体の濁りがあるので、白濁としては分からなくなっているだけです。ただし、この濁りはすすぎの時にも、少し残っています。この濁りにも同じように金属塩の濁りはあるはずです。でも、洗剤残りは気にしても、濁りの残りは気にしないものです。


濁りは、日本の水道水だと、薄い濁りなので、通常だと気にする必要はないと思います。気にしないで、汚れをしっかり落とせる炭酸ナトリウムの量(PH)を考えることにしました。炭酸ナトリウム0.04%でも0.1%でも濁りの濃さに違いはありませんでした。炭酸ナトリウムが増えれば、それだけ濁りが増えるわけではありません。

最初の洗濯水のPHだけでなく、洗濯物を入れて、汚れをはがすのに炭酸ナトリウムが使われてPHが下がって来ても、なおPH10という洗浄力を保てる濃度が必要みたいです。そういう力を保てる、炭酸ナトリウムの濃度は、0.04%では不足で、0.1%(水30リットルに炭酸ナトリウム30グラム)であれば十分だ、というのが、体験的な結論です。2年間0.04%でやってきて、やっとたどり着いた結論です。

特に色落ちしやすいものは除外して(もともとこういうものは一緒には洗っていません)、特に困ったことは起きていません。汚れ残りがさらに減った分、衣類はサラサラと柔らかくなったように思います。

肌着、普段着を洗濯機で洗うには炭酸ナトリウムはもってこいです。

絹、毛などの動物繊維はアルカリ性では傷みますので、炭酸ナトリウムの量を思い切って減らしましょう。(上記の図でいえば、PHが7くらいの水10リットルに1グラムにとどめて、手早く洗う、が私のやり方です) あるいは、セスキ炭酸ナトリウムでの洗濯をおすすめします。

炭酸ナトリウムは洗剤投入口にではなく、先に予定水量に近い水を入れ、運転しながら、そこに投入して、洗濯機をそのまま(3分くらい)回して溶かしてましょう。あるいは、全自動洗濯機の場合は、別容器で溶かしてから入れるようにすると良いでしょう。
(炭酸ナトリウムは、砂糖よりは溶けにくいです。溶けないというのではなく、水中で粒のかたまりを作りやすく、大きめの粒になってしまうと溶けるのに時間がかかるのです。容器に炭酸ナトリウムを入れて、水を入れたらすぐかき混ぜます。)

その後で洗濯物を入れましょう。洗濯物を入れて、水が足りないようなら、水位を調整して水を足しましょう。

つけ置き洗濯は、逆効果

つけ置き洗濯は、頑固な汚れを落とすので、望ましい、という意見は根強くあります。

しかし、これは間違いだと私は思います。実際、合成洗剤の時を含めて、つけ置き洗濯で、通常の洗濯よりもきれいになった、という実感はありませんでした。洗濯ではありませんが、換気扇などのベタベタ汚れに、つけ置き(というより洗剤をかけてしばらく放置)は確かに効果があります。しかし、衣類のベタベタ汚れは、廃棄する以外に方法はないのが現実です。

振り返って、通常の洗濯では、
・水の白濁分に長い間さらされるので、衣類に付着してしまう可能性がある(多分、ほとんど影響ないと思いますが)
・(特に予洗いなしだと)衣類の汚れが水に溶かされると共に、衣類や洗濯機にもしっかり吸着されてしまう
というのが現実だと思います。

とりわけ、アルカリ洗濯での白濁を気にしながら、つけ置き洗いをするというのは、ありえない選択だと、思います。

それ以外にも、現代日本での通常の生活では、日常衣服の汚れが、(洗い時間の最初の)1分でふやけないほどに固まってしまう、ということは、まずありえません。また、衣類は表面に近いほどよけいに汚れている、というのが実際です。(できれば予洗いして)通常の洗濯で、繊維に染み込む前に、さっさと洗ってしまうのが最善だと思います。

重曹を洗濯に使うのは、どう?

ちなみに、重曹を入れたらPHはどのくらいになるのでしょうか?
実際にPH試験紙で測ってみました。考えもなく10リットル近い水を使ったので、0.23%(23g)まで行ったところで、最初PH7.0より少し酸性に振れていた水道水が、やっとPH7.0にまでなった、程度でした。こりゃPH試験紙がだめになったのかな、と思って中断しました。

ネットで調べると、「重曹は分子式NaHCO3の白色粉体で、pHは8.5(1%水溶液、25℃)」と言われています。(AGC化学品カンパニー) いやはや、PH試験紙の問題ではなく、重曹はPHがなかなか上がらないものなのだ、ということでした。
1%といえば、洗濯機50リットルの水に対して500グラムになってしまいます。重曹は普通の洗濯に使えるものではないのですね。

セスキ炭酸ナトリウム洗濯は、おすすめか?

ちなみに、重曹洗濯、とかセスキ炭酸ナトリウム洗濯とかいう人がありますが、今述べましたように、洗濯水をアルカリ化するということでは、炭酸ナトリウムにはとうてい及びません。

セスキとは、重曹と炭酸ナトリウムが同じ割合で混ざっている、という意味です。要は、セスキ炭酸ナトリウムを使うくらいなら、炭酸ナトリウムを使えば少しで済む、とも言えるわけです。絹、毛などの動物繊維を洗濯する場合には、PHを抑えることができるので、重曹やセスキ炭酸ナトリウムが役立つでしょう。

この、セスキ炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの量的関係については、
当研究所本館の記事
炭酸ナトリウムが何かと役立つ
を参考にしてください。

炭酸ナトリウムは、セスキに比べて、1%濃度ではPHが1.5高いので、単純に言えば、10の1.5乗=31倍強力なのです。今のように、0.1%だとまた違ってきますが、セスキは力不足で、洗濯機での洗濯には向いていないのです。

粉をかけて直接手で揉むなら、セスキ炭酸ナトリウムの方がより安全でしょうが、洗濯機に入れるのであれば、セスキ炭酸ナトリウムでは間に合わないのです。

炭酸ナトリウム、重曹、セスキ炭酸ナトリウムなど、何気なしに、それぞれのPHを書いてある、無責任なサイトもありますが、濃度によって変わってくるわけで、濃度とからめて書かないと、誤りだとも言えます。見回って読みますと、書かれているのは、大抵は1%濃度のことです。
しかし、実際に洗濯する濃度は、1%とは限らないので、注意が必要です。上図でも分かりますように、1%というのは、かなり濃い状態です。50Lの水だとすると、500g入れるという意味ですから。
当研究所の本館サイトには、それぞれのPHの記事もあります。参考にしてください。
炭酸ナトリウムが何かと役立つ
です。

結論として、普通の洗濯機洗濯では、セスキ炭酸ナトリウムや重曹を使うことはできない(洗浄力が弱すぎる)、ということです。

すすぎは2回で完全スッキリ

すすぎ炭酸ナトリウムで肌着、普段着を洗濯機で洗う場合には、すすぎの間に脱水をしっかりやれば、すすぎは2回で完璧です。(全自動の洗濯とすすぎの間の脱水は、待機時間が長い割にあっさりし過ぎていますね) このすすぎは、炭酸ナトリウムを取り除くというより、汚れ水を取り除くものです。炭酸ナトリウム自体は、水と共に簡単に取り除かれます。

最初の洗い・脱水で 汚れと炭酸ナトリウムはほとんど無くなります。炭酸ナトリウムは水となじみやすいので、1回目のすすぎで炭酸ナトリウムは全く気にならなくなります。すすいでもすすいでも取れない洗剤とは全く違います。特に、合成洗剤の香料が苦手な人には、炭酸ナトリウムは全くのオススメです。炭酸ナトリウム洗濯のスッキリした洗い上がりは、合成洗剤とは格段に違います。

私の場合、洗いもすすぎも短時間で済むようになりました。 洗剤残りがイヤダイヤダで脱水時間も、すすぎ時間もひたすら伸ばして、洗濯機が回っている時間が長くなった2年前でしたが、炭酸ナトリウムに替えてからは、様子が分かれば分かるほど、洗濯時間は短くて済むようになりました。

2回のすすぎで大丈夫か? 計算してみると

では、1回のすすぎでは炭酸ナトリウムはどれだけ取れる(残る)のでしょう?
微量なので、手軽な測定方法はないのですが、次のように考えることができると思います。

水を一番たくさん含みやすいと思われるタオル布巾を使いました。乾燥したタオル布巾の重量が100グラムでした。水に浸してから洗濯機で脱水すると206グラムになりました。100グラムの洗濯物を洗って脱水すると106グラムの水が残る、ということですね。

これを前提として、通常では5キロ(5000グラム)の洗濯物を、30グラムの炭酸ナトリウムと50リットルの水で洗うとします。洗濯して脱水すると、洗濯物には5.3キロの水分(炭酸ナトリウムを含む)が残ります。

脱水しても残る水の割合

この5.3キロの水の中には30グラム×(5.3÷50)=3.18グラムの炭酸ナトリウムが残っている、と考えられます。
これを一度50リットルの水ですすいで、脱水します。すると3.18×(5.3÷50)=0.337グラムの炭酸ナトリウムが残っている、という計算になります。100分の1になっています。洗濯物全体で0.3グラムですから、合成洗剤と比べて全く問題にならない量だと思われます。

すすいで残る炭酸ナトリウムの量

で、いつも通り、もう一度すすぎますと、0.337×(5.3÷50)=0.035グラムとなります。

もちろん、これらの計算は、合成洗剤とは違って、炭酸ナトリウムが衣類に付着する特別な力は働かない、という前提です。 (少しずるいような気がしますが) 手軽に調べる方法がないのが残念ですが、実感としてこれに近いと思います。
アルカリ度=PHについて、試験紙で実測したところ、1度のすすぎで(最初のためすすぎ水を排水直前に計測)PHは7=中性でした。中和のためのクエン酸なども不要ということです。

洗濯槽の黒カビに注意! 炭酸ナトリウム洗濯の開始にあたって、合成洗剤が残している汚れがしばらく出ます

洗濯槽の汚れ炭酸ナトリウムでの洗濯を始めたら、小さな黒いワカメのようなものが、浮いてきたり、衣類に着いたり,くず取りネットに溜まったりします。これがいままで洗濯機にこびりついていたものです。
合成洗剤が、衣類だけでなく、洗濯機にもくっついて離れないのです。柔軟剤を使っていると、もっと悲惨なことになっています。

炭酸ナトリウムは、衣類もきれいにするし、洗濯機もきれいにします。
洗濯機をきれいにするのはいいのですが、衣類に黒ワカメが着くのは実際困ります。
炭酸ナトリウムでの洗濯を始める前に、一度、槽洗浄してください。それでもしばらく(半年くらいか?)、時々、黒カビが浮いてきますので、注意して取り除いたり、槽洗浄を重ねるか、うまくやってください。

合成洗剤の害から、人も、衣類も、洗濯機も逃れるために、避けられない通過点なのです。

環境への負荷も減少

環境への負荷が少ない炭酸ナトリウムは薄まれば無害な無機物です。(ナトリウムは海から取って製造します)環境への負荷は通常では無きに等しいと、考えられます。
毎日大量に垂れ流されている合成洗剤の環境への負荷も、炭酸ナトリウムへの切り替えで、減らせます。


「洗剤残りゼロ」をうたった合成洗剤が、合成洗剤使用ゼロの結果を招きました。