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洗濯に洗剤は必要不可欠なのか?
        炭酸ナトリウムさっぱり洗濯のおすすめ

2025年1月20日更新

合成洗剤による洗濯をやめて、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)による洗濯(アルカリ洗濯とも言われますが)を、おすすめしたいと思います。炭酸ナトリウム洗濯の体験レポートです。
さらにその後の試行錯誤で、クエン酸すすぎ(クエン酸を仕上げのすすぎに入れる)で、洗濯物が、柔らかくなり、部屋干し臭もなくなり、そもそも汚れの付きにくいものになることが分かってきました。炭酸ナトリウム(あるいは洗剤)の使用量も、大幅に減らせるのです。

このクエン酸すすぎを取り入れたため、以前の記事を、大幅に書き換えました(2025年1月)。ただ、試行錯誤の経過を残すために、以前の記事もかなり、そのまま残しています。お急ぎの方は、いきなり「クエン酸すすぎ」にジャンプしてください。

以下、「炭酸ナトリウムでの洗濯→クエン酸すすぎ」 の良さをお伝えしたいと思います。

目次


「洗剤残りゼロ」の衝撃-ゼロというのにクサすぎる

洗剤投入洗濯に洗剤を使うのは常識、当たり前のことです。洗剤なしで一体どうやってきれいにできるのか?! 私も物心ついてからずうっとそうしてきました。
しかし、2021年の転換点でその考えが実は大変な誤りであることを発見したのです。実は合成洗剤は洗濯物にこびりついて離れないものだ、洗剤残りがものすごいものだ、ということです。

2021年、洗剤がなくなってきたので買おうと思ったら、今まで使っていたお気に入りの洗剤が販売終了となり、その代替として新製品を売り出していました。「汚れも、ニオイも、洗剤残りまでゼロ」、なるキャッチフレーズにつられて、考えもなく買ってきて、洗濯したのでした。

ところが、なんと! 実態は真逆で、ニオイ(洗剤の香料)が前製品と比べものすごく強くて、すすいでもすすいでも取れないではないですか!
いやはや、ニオイやら、洗剤残りやらについて、このメーカーの考えというか、感覚というか、それは私とはとんでもなくかけ離れたものだ、ということだけは、はっきりしました。

こりゃたまらんと、この「ゼロ」はゴミに出して、ニオイの弱そうなものを探して使ったのです。が、前から気にはなっていましたが、もう今や、洗剤のニオイが、すごく鼻についてたまらないようになってしまいました。

すすいでもすすいでも取れないニオイ残り、すすぎが甘いのか?

洗剤のにおいが残る全自動洗濯機のおまかせモードでは、すすぎが甘い、特に洗いとすすぎの際の脱水時間が短すぎるように思ったので、これを長くして、回数も増やしてみました。少しはましになったのは確かですが、やはり「少しはましになった」程度でしかなかったのです。

「これは一体どういうことなのだろう?」
1回の脱水で汚れや洗剤分が10分の1になるとしたら、さらに2回のすすぎ(と脱水)で各々10分の1だから、(1/10)3 = 1000分の1(=ほぼ0) じゃないのか?
10分の1ではなくて、5分の1としてでも、、(1/5)3 = 125分の1(=ほぼ0)のはずなのに、
実際はこのくささだ、一体どうなってるの?

少し調べてみますと、実は、そもそも、合成洗剤というのは、すすいでも取れないものであることが、研究データでも出ていることが分かりました。

洗剤はいくらすすいでも最初の量の4分の1くらいが残るらしい

「洗剤と洗浄の科学」(中西茂子著、コロナ社刊)です。



少し引用してみましょう。

洗濯物が乾いたときや洗髪後に洗剤やシャンプーの匂いがするが、あれは洗剤成分が残っている証拠である。

三種のすすぎ試験が行われました

①同じ液の中で連続的に十五分間洗った場合(すすぎ水は一度だけ入れて、換えないこと・・・海竜風注)
②三分ごとに水を換えて繰り返して五回ためすすぎをした場合
③三十リットル水を張ってから毎分十リットルでオーバーフローさせた場合
 の三通りとし、その結果、洗いに使った洗剤成分が洗濯物にどれだけ残っているかを測定した

その結果がグラフにされているのですが、分かりやすいように、私なりに描き直したものを次に示します。

①連続的に十五分間
連続すすぎの洗剤残り

②水を換えて五回ためすすぎ
ためすすぎの洗剤残り

③毎分十リットルでオーバーフロー
オーバーフローの洗剤残り

単位が違ったりして分かりにくくて、申し訳ないのですが、要は、洗剤残量は、1、2回のすすぎの後では水平線になる、ということなのです。水を頻繁に換えてすすいでも、時間をかけても、大して変わらない、ということなのです。つまり、洗剤は何回すすいでもかなりの量が残る、ということなのです。

「やっぱりそうなんだ、洗剤はいくらすすいでも最初の量の4分の1くらいで取れ止まって、それ以上は取れないんだ!」と、納得したわけです。 確かに、実感に近いですね。

しかし、せめて2度もすすげば何10分の1くらいにはなるのではないか、というのが常識的な期待だと思うのですが・・・・・。ましてや「ゼロ」と言われれば、もっと期待したいものです。

部屋干し臭の原料も、かぶれの原因も残存洗剤か?

部屋干しのニオイも、汚れの残りというより、こびりついている洗剤に菌がたかって(環境に優しいように生分解しやすく作られているわけですから)、その結果だ、と考えられます。 (炭酸ナトリウム洗濯を続けてきて、今やこれは確信です)

また、人によっては洗剤で洗った肌着にかぶれることも納得できます。
合成洗剤が汚れを落とすのは、汚れを溶かすだけでなく、布全体にに洗剤が付着して汚れをはねのける、というような仕組みがある気がします。汚れの鎖をはねのける、というような宣伝のイメージはここら辺に根拠があるのではないかと、想像します。

全自動洗濯機のすすぎコースで脱水が短すぎる、とずっと思ってきましたが、これは「どうせ取れないのだから、一応形ばかりに」ということかも知れません。

メーカーさんも、洗剤残りは先刻ご承知

最初に触れた「汚れも、ニオイも、洗剤残りまでゼロ」のメーカーさん、数字はもちろん、測定方法も公開してほしい、と思っていたら、なんと、グラフがありました。ありがとうございます! 今まで(2022/1/7)気が付きませんでした。失礼ながら、無断転載させていただきます。

POINT 2 高い洗浄力とすすぎ性 より

すすぎ性が高い!_一般的な界面活性剤と繊維への残りやすさを比較して_バイオIOSは、繊維に余分な洗剤が残りません_  より)

「ゼロへ」(=ゼロへ少し近づいた?)とか「繊維に余分な洗剤が残りません」(=残る必要のある洗剤はある?)とか、何やら表現が微妙に逃げ道が用意されているようなのですが、はっきり言って上図からは洗剤残りがかなりある、ということははっきりしています。ただし、数字がないので、上図についても、Y軸が0から始まっているのかどうかもわかりません。(Y軸の最下部は「繊維に残りにくい」(0なら、「残らない」でしょう)となっていますから、少し考えれば、これは0ではないと読み取るのが普通でしょう) Y軸の原点が0でないとすると、素人目からすると、ほとんど変わらないかもしれないぞ、ということになってしまいます。

X軸をY=0(ゼロ)にして表すと、もしかしたら、こんな感じなのかも知れないですね。


これでは、各洗剤の違いは誤差範囲じゃないですか。しかし、せめて、大げさな「洗剤残りまでゼロ」は、やめてほしいです。

炭酸ナトリウムを試して、ニオイがなくなった、部屋干し臭もなくなった

炭酸ナトリウムでニオイがなくなった

で、もう市販の洗剤は止めにして、ダメ元で(炭酸ナトリウム洗濯はインターネットでの評判悪いし)、試しに手元にあるセスキと過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を、適当に使って洗濯してみることにしました。すると、そこそこきれいになるし、洗剤のニオイもぐっとマシになって、いけそうに思えました。

セスキを使うなら、炭酸ソーダ(洗濯ソーダ、炭酸ナトリウム、ソーダ灰とも)だと使う量が少なくて済むし、かなり安そうなので、炭酸ナトリウムを購入し、しばらくこれでやってみよう、と思いました。過炭酸ナトリウムもあるので、適当な割合で両方を混ぜて使ってみました。

するとすると、回数を経るほど、洗剤のニオイがなくなり、部屋干しのニオイもしないようになりました。(2021年秋現在では、部屋干し臭など、もう意識にも上りません)

四季がめぐって、衣替えの際に、しまっておいた衣類の特有の(洗剤が変質したような)ニオイもほとんどしません。

洗濯水の白濁はスルー

初期の最大の問題は、濁りでした。炭酸ナトリウムの炭酸分が水の中のカルシウム等の金属イオンと反応して溶けにくいものになってしまうためのようです。で、キレート剤としてクエン酸ナトリウムも使ってみました。が、ほとんど変化なしでした。
また、炭酸ナトリウムを使う量を増やせばそれだけ濁りが増えるというわけではありません。水中のカルシウム等の少量の金属イオンが濁りとして出てしまうと、炭酸ナトリウムをさらに増やしても濁りが増えるわけではないのです。洗濯物が粉っぽくなるわけでなし、気にしないことにしました。

(実は、この濁り=水垢の問題は、後述する「クエン酸すすぎ」につながるのでした)

軟水の日本では、少量の濁りは問題なし、としてスルーすることが適当かも知れません。
また過炭酸ナトリウムを、漂白、殺菌の意味も込めて少し使っていたのですが、どうも、そのせいでも少し濁りにくくなるみたいです。

炭酸ナトリウムは、合成洗剤に比べると少し高いけど

炭酸ナトリウム商品の一例です。1キロあると、1日1回24グラムずつ使うとすれば、40日くらいもつ計算です。合成洗剤だと、1日1回30グラムずつ使うもので、800gで200円台ですから、炭酸ナトリウムは合成洗剤よりは高くつきます。小分けの食品添加物ということで、割高になるのでしょう。(もっと割安の5キロ売りとかもあります)

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部屋干し臭を防ぐには殺菌剤を使うのではなく、合成洗剤を使わないことで

雑菌を抑えて嫌な臭いを防ぐため消臭・抗菌効果のある柔軟剤、というものも出て来ました。雑菌に餌(洗剤)をたっぷり残して、次には殺菌剤入りの柔軟剤を売ろう、というのですね。それは結局、雑菌の餌を増やすだけのことです

肌に悪そうなものを重ねて塗りたくったものを身に着けていいのか? と心配になります。
部屋干し臭を防ぐには、何より、衣類に付着して離れない合成洗剤を、使わないことです。

洗い上がりは? 「アルカリ」で大丈夫?

検査に使ったPH試験紙 洗い上がりはどうなのか? というのは重要な問題です。ほとんど違いはない、というのが私の実感です。

部屋干し臭と関係があるのか、残った洗剤が変質して黒っぽい汚れになってしまうような気がするのですが、これがなくなるので、さっぱりして、合成洗剤よりもきれいになるように思います。
ただ、機械油、ワセリンなどの化学的に安定した石油系の油が付着した汚れには向いていないようです。この場合には洗剤(石けん)プラス炭酸ナトリウムが一番ふさわしいでしょう。

「炭酸ナトリウムはアルカリ性だから、布を傷めるのじゃないか?」という心配はごもっともです。私も洗濯機でガラガラ回せる肌着、普段着に限ってきました。
洗濯にあたって、中性、弱アルカリ性、アルカリ性、というのは、プロに聞きますと

(東京都クリーニング生活衛生同業組合)
6.0以上 8.0以下     中性
8.0を超えて 11.0以下  弱アルカリ性
11.0を超えるもの     アルカリ性

辺りだと言われています。

PH試験紙で図ってみますと、面白いことに、 市販の弱アルカリ性液体洗剤を普通に溶かすとPH7.0 。私が今、炭酸ナトリウムを溶かして使っている洗濯水はPH10。
市販の「弱アルカリ性洗剤」が中性、アルカリ(炭酸ナトリウム)を入れた洗濯が弱アルカリ性、ということになってしまいます。(通販で買った0.5単位のPH試験紙だし、色相判断はある意味気分なので、その辺を割り引いて、一つの目安として読んでほしいです)
ではなぜ「弱アルカリ性」と書くのか、といえば、溶かす前の洗剤が弱アルカリ性ということだろうと思います。衣類に直接つけて洗う場合は別にして、洗濯機を使って普通に溶かせば、中性洗剤も弱アルカリ性洗剤も洗濯液は中性ということですね。
ただし、粉(合成)洗剤となると違ったことになります。粉洗剤には助剤として、炭酸ナトリウムがかなり入っています。そのため、洗濯液は弱アルカリ性となり、汚れ落ちも良くなるのです。

この辺、メーカーの方で、すぐ分かるように説明してほしいですね。(中性洗剤をありがたそうに売りつけるためだろう、というのは、うがち過ぎですかね?)

炭酸ナトリウムはどれだけ使う?

炭酸ナトリウム使用量

(実は、この炭酸ナトリウムの量は、後述の「クエン酸すすぎ」にすると、大幅に減らせるようになるのです。「クエン酸すすぎ」だと、汚れが付きにくく、落ちやすくなるのです。ここの項目は、昔の通過点として、参考までに残しています。)



炭酸ナトリウムはどれくらいの量を入れればよいのでしょうか? 炭酸ナトリウムを水に溶かしていって、その実際のPHの変化を調べました。
それをグラフにしたものが次の図です。 (2022年8月測定)

炭酸ナトリウム濃度とPHの関係

PH試験紙は、0.5刻みの色合わせですから、判定は、大変難しいです。参考程度にしかなりません。そういうものとして、ご理解ください。

PH10になってからは、それ以上に炭酸ナトリウムを加えても、PH値は、なかなか上がりません。この切り替わり目(0.04%=50リットルの水に炭酸ナトリウム20グラム)が、炭酸ナトリウムを加える目安になると思います。

しかし、この0.04%(で2年くらい続けてみました)にしますと、洗濯物を入れて、洗濯が始まると、すぐにPHは下がってしまうみたいです。PH10で洗い続けることができないようで、洗浄力に不足を感じます。そのため、洗濯が終わるまでPH10を保てるように、0.04%より多めに入れるようにすると、よりきれいに洗い上がるように思いました。


炭酸ナトリウムは洗剤投入口にではなく、先に予定水量に近い水を入れ、運転しながら、そこに投入して、洗濯機をそのまま(1分くらい)回して溶かしましょう。あるいは、全自動洗濯機の場合は、別容器で溶かしてから入れるようにすると良いでしょう。
(炭酸ナトリウムは、砂糖よりは溶けにくいです。溶けないというのではなく、水中で粒のかたまりを作りやすく、かたまりになってしまうと溶けるのに時間がかかるのです。容器に炭酸ナトリウムを入れて、水を入れたらすぐかき混ぜます。)

その後で洗濯物を入れます。洗濯物を入れて、水が足りないようなら、水位を調整して水を足します。

重曹を洗濯に使うのは、どう?

ちなみに、重曹を入れたらPHはどのくらいになるのでしょうか?
実際にPH試験紙で測ってみました。考えもなく10リットル近い水を使ったので、0.23%(23g)まで行ったところで、最初PH7.0より少し酸性に振れていた水道水が、やっとPH7.0にまでなった、程度でした。こりゃPH試験紙がだめになったのかな、と思って中断しました。

ネットで調べると、「重曹は分子式NaHCO3の白色粉体で、pHは8.5(1%水溶液、25℃)」と言われています。(AGC化学品カンパニー) 1%とは、水50リットルに重曹500グラムということです。いやはや、PH試験紙の問題ではなく、重曹はPHがなかなか上がらないものなのだ、ということでした。
重曹はアルカリ洗濯に使えるものではないのですね。

セスキ炭酸ナトリウム洗濯は、おすすめか?

ちなみに、重曹洗濯、とかセスキ炭酸ナトリウム洗濯とかいう人がありますが、今述べましたように、洗濯水をアルカリ化するということでは、炭酸ナトリウムにはとうてい及びません。

セスキとは、重曹と炭酸ナトリウムが同じ割合で混ざっている、という意味です。要は、セスキ炭酸ナトリウムを使うくらいなら、炭酸ナトリウムを使えば少しで済む、とも言えるわけです。

この、セスキ炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの量的関係については、
当研究所本館の記事
炭酸ナトリウムが何かと役立つ
を参考にしてください。

炭酸ナトリウムは、セスキに比べて、1%濃度ではPHが1.5高いので、単純に言えば、10の1.5乗=31倍強力なのです。今のように、0.1%だとまた違ってきますが、セスキは力不足で、洗濯機での洗濯には向いていないのです。

粉をかけて直接手で揉むなら、セスキ炭酸ナトリウムの方がより安全でしょうが、洗濯機に入れるのであれば、セスキ炭酸ナトリウムでは間に合わないのです。

炭酸ナトリウム、重曹、セスキ炭酸ナトリウムなど、何気なしに、それぞれのPHを書いてある、無責任なサイトもありますが、濃度によって変わってくるわけで、濃度とからめて書かないと、誤りだとも言えます。見回って読みますと、書かれているのは、大抵は1%濃度のことです。
しかし、実際に洗濯する濃度は、1%とは限らないので、注意が必要です。上図でも分かりますように、1%というのは、かなり濃い状態です。50Lの水だとすると、500g入れるという意味ですから。
当研究所の本館サイトには、それぞれのPHの記事もあります。参考にしてください。
炭酸ナトリウムが何かと役立つ
です。

結論として、普通の洗濯機洗濯では、セスキ炭酸ナトリウムや重曹を使うことはできない(洗浄力が弱すぎる)、ということです。

クエン酸すすぎは全ての問題を解決

すすぎ
炭酸ナトリウムで肌着、普段着を洗濯機で洗う場合には、すすぎの間に脱水をしっかりやれば、すすぎは2回で完璧です。さらに、最後のすすぎにクエン酸を入れると、洗濯物は驚くほどきれいになり、部屋干し臭など全くしなくなるのです。

炭酸ナトリウムは水で洗い流される

炭酸ナトリウム洗濯でのすすぎの目的は、炭酸ナトリウムを取り除くというより、汚れ水を取り除くものです。取れない合成洗剤とは違って、炭酸ナトリウム自体は、水と共に簡単に流れ去ります。

洗いと最初の脱水で 汚れと炭酸ナトリウムはほとんど無くなります。炭酸ナトリウムは布に付着しにくいので、1回目のすすぎで炭酸ナトリウムは全く気にならなくなります。すすいでもすすいでも取れない合成洗剤とは全く違います。

私の場合、洗いもすすぎも短時間で済むようになりました。 洗剤残りがイヤダイヤダ、で脱水時間もすすぎ時間もひたすら伸ばして、洗濯機が回っている時間が長くなるばかりだった2年前でしたが、炭酸ナトリウムに替えてからは、様子が分かれば分かるほど、洗濯時間は短くて済むようになりました。

2回のすすぎで大丈夫か? 計算してみると

では、1回のすすぎでは炭酸ナトリウムはどれだけ取れる(残る)のでしょう?
微量なので、手軽な測定方法はないのですが、次のように考えることができると思います。

水を一番たくさん含みやすいと思われるタオル布巾を使いました。乾燥したタオル布巾の重量が100グラムでした。水に浸してから洗濯機で脱水すると206グラムになりました。100グラムの洗濯物を洗って脱水すると106グラムの水が残る、ということですね。

これを前提として、通常では5キロ(5000グラム)の洗濯物を、30グラムの炭酸ナトリウムと50リットルの水で洗うとします。洗濯して脱水すると、洗濯物には5.3キロの水分(炭酸ナトリウムを含む)が残ります。

脱水しても残る水の割合

この5.3キロの水の中には30グラム×(5.3÷50)=3.18グラムの炭酸ナトリウムが残っている、と考えられます。 炭酸ナトリウムは10分の1になるとも言えますね。
これを一度50リットルの水ですすいで、脱水します。すると3.18×(5.3÷50)=0.337グラムの炭酸ナトリウムが残っている、という計算になります。100分の1になっています。洗濯物全体で0.3グラムですから、合成洗剤と比べて全く問題にならない量だと思われます。

すすいで残る炭酸ナトリウムの量

で、いつも通り、もう一度すすぎますと、0.337×(5.3÷50)=0.035グラムとなります。ほぼ0ですね。

もちろん、これらの計算は、合成洗剤とは違って、炭酸ナトリウムが衣類に付着する特別な力は働かない、という前提です。 (少しずるいような気がしますが) 手軽に調べる方法がないのが残念ですが、実感としてこれに近いと思います。
アルカリ度=PHについて、試験紙で実測したところ、1度のすすぎで(最初のためすすぎ水を排水直前に計測)PHは7=中性でした。炭酸ナトリウムを中和するためのクエン酸なども不要ということです。

クエン酸すすぎ=中和のためではなく、水垢を取り除くため

中和のためにはすすぎにクエン酸は不要、と書きました。確かにその通りなのですが、クエン酸を少し多めに入れて、すすぎの最後にまだ酸っぱさが残るくらいにすると、衣類に付着している水垢(カルシウム、マグネシウムなどの金属塩)が溶け出し、付着しないようになるので、仕上がりがとても良くなるのです。

クエン酸すすぎを始めた経過については、↓の本館記事をご覧ください。


洗濯を重ねるとタオルがゴワゴワする、襟汚れが取れなくなる、肌着がバリバリする、などなど、衣類に余計なものが付着してくる実感はありますよね。
お風呂の鏡などに付着するウロコ。それは、水道水に含まれているカルシウムやマグネシウムなどの金属塩=水垢が、水が飛んでも残ってしまうからです。この水垢を取り除くのに、クエン酸が役に立つのは常識になっています。
同じクエン酸が、衣類に付着した水垢をはがして、水とともに流してくれるのです。

おしゃれ着洗い-甘い脱水で残る多量の水垢(金属塩)

おしゃれ着洗いといえば、専用の洗剤を使って、洗いも、脱水も弱めにする、というのが基本ですね。型くずれを防ぐためです。問題は、弱めの脱水となると水道水が衣類に残ったままになることです。これが乾燥すると水道水中の水垢はどうなるのでしょうか? どこにも飛んではいきません。衣類に付着したままです。たいていはしっかり脱水するタオル類よりも、はるかに多くの水垢が、このおしゃれ着に残って、どんどん溜まっていることになります。

タオル以上にゴワゴワしてくるはずなのですが、それを避けるために、おしゃれ着洗剤には柔軟剤が入っています。そこが、普通洗剤とおしゃれ着洗剤との違いらしいです。いやあ、すごいですね。ちょっとゾッとしますね。

おしゃれ着洗いの時にも、(生地が許すとして)クエン酸すすぎをすると、この溜まりに溜まった水垢が取れて、柔軟剤なしでも、フワフワ、柔らかくなります。

少量の炭酸ナトリウムと、クエン酸すすぎで、手早く洗うと、大概のおしゃれ着は問題なく洗えることになります。

炭酸ナトリウムの量は? クエン酸すすぎの場合

水垢が衣類に付着すると、取れにくい襟汚れ・袖汚れ、黄ばみ、取れにくいニオイ、などが生じます。クエン酸すすぎにすると、水垢が、洗濯のたびに減ってくるので、取れにくい汚れは減ってきます。新たに付いた汚れは取れやすくなります。

炭酸ナトリウムや洗剤をたくさん入れたくなる、というのは、実は、この水垢が汚れをこびり付かせるからだったのです。ですから、炭酸ナトリウムの量は、今まで述べてきました量の、とりあえずは、3分の1で足りるような気がします。炭酸ナトリウムを入れなくても、水だけできれいになっている気がする、という時もあります。

布巾でテーブルを拭いた後、布巾を水洗いするだけで、汚れが落ちたりしますよね。洗濯も、そういう感じになってきているように思います。しつこい、落ちにくい汚れは、実は、水垢が主な原因だったのです。

洗濯槽の黒カビに注意! 炭酸ナトリウム洗濯の開始にあたって、合成洗剤が残している汚れがしばらく出ます

洗濯槽の汚れ炭酸ナトリウムでの洗濯を始めたら、小さな黒いワカメのようなものが、浮いてきたり、衣類に着いたり,くず取りネットに溜まったりします。これがいままで洗濯機にこびりついていたものです。
合成洗剤が、衣類だけでなく、洗濯機にもくっついて離れないのです。柔軟剤を使っていると、もっと悲惨なことになっています。

炭酸ナトリウムは、衣類もきれいにするし、洗濯機もきれいにします。
洗濯機をきれいにするのはいいのですが、衣類に黒ワカメが着くのは実際困ります。
炭酸ナトリウムでの洗濯を始める前に、一度、槽洗浄してください。それでもしばらく(半年くらいか?)、時々、黒カビが浮いてきますので、注意して取り除いたり、槽洗浄を重ねるか、うまくやってください。

合成洗剤の害から、人も、衣類も、洗濯機も逃れるために、避けられない通過点なのです。

環境への負荷も減少

環境への負荷が少ない炭酸ナトリウムは薄まれば無害な無機物です。(ナトリウムは海から取って製造します) 環境への負荷は通常では無きに等しいと、考えられます。
クエン酸も簡単に分解されます。

毎日大量に垂れ流されている合成洗剤の環境への負荷も、炭酸ナトリウムへの切り替えで、減らせます。


「洗剤残りゼロ」をうたった合成洗剤が、合成洗剤使用ゼロの結果を招きました。

注、クエン酸の分解性について
クエン酸の化学式は、C6H8O7です。肥料となる窒素・リン酸・カリを含まない、小さい分子なので、水で薄まると、微生物によって簡単に分解されます。