挿し木ーバラのカルスは何になる?(完結)

水浴法挿し木

「水浴法で挿し木」の記事の最後、追記で書きましたが、

(記事の対象の種類のバラ(ドリフト)ではないのですが) 2022年6月に枝を水に差していたバラ(ファニータコルダナ)の根が、予想外の所から出ていました。てっきり、カルスの先に、カルスが根に変化するような感じで、根が出てくるとばかり思い込んでいたのですが。

カルスからではなく、カルスの上から根が出てきた

下の写真のように、ファニータコルダナの挿し木の、カルスの上の方から、茎から直接出てくるような感じで、根が出てきていたのです。

このカルスと根が、一体どう発展して行くのでしょうか? この行く末を、この記事で追いかけてみたいと思います。

カルスの上から根が出ているバラ挿し木
バラ(ファニータコルダナ)の挿し木、カルスの上から根が出ています

ドリフトのカルス(以前の記事)

参考までに、下図は、「水浴法で挿し木」の記事中の、水に浸けて30日後のバラ(ドリフト)の枝です。種類は違いますが、カルスがガッチリできています。

バラ、ドリフトのカルス
バラ、ドリフトのカルス

次の写真は同じドリフトです。水に浸けてから2ヶ月近い頃、様子が心配で、植え直した時、土から出した根の様子です。左から、カルスがほとんどなく根がしっかり伸びているもの、カルスが少しできていて根が少し出ているもの、カルスがガッチリできていて根が出て来ていないもの、となっています。まるで、左から順番に土に挿していったような感じです。実際、左の2本が水に浸けて8日後に土に挿したものです。右の1本は、それから更に1ヶ月後に土に挿したものです

この結果を見ると、カルスがガッチリできる前に、水に浸けて1週間後には、さっさと植えてくれた方が良いよ、と言わんばかりです。

バラ、ドリフトの根とカルスの様子
根とカルスの様子

ジンチョウゲは、カルスなし

ついでに、下図はジンチョウゲの枝です。カルスではなく、根が直接出てきています。バラと同じ木本ですが、様子は全然違います。

ジンチョウゲの根、カルスなし
ジンチョウゲの根

ケール、春菊、インパチェンスも、カルスができない

ケールでもカルスができないで、いきなり根が出てきます。こちらは草本なので、違うのかな、と思ったりして。

ケールの根、カルスなし
ケールの根

春菊でも、インパチェンスでも、カルスではなく、いきなり根が出てきました。不思議ですね。

もしかしたら、バラだけがカルスを作るのかもしれません。

この記事の対象=ファニータ・コルダナの枝です

(上の記事のバラは、レッドドリフトでしたが) このカルスについての記事のバラ=ファニータ・コルダナは、黒味がかったベルベット調の赤色に惹かれて、買ったバラです。丈夫で、たくさんの花が付き、花持ちも良くて、大好きなミニバラです。

ファニータ・コルダナ
ファニータ・コルダナ(うまく撮影できませんでした。実際はもっともっと黒っぽいです)

花持ちの良さは抜群で、ゆっくり咲き始め、完全に開いた後は、普通のバラとは逆で、外側からだんだん黒っぽくなり、花びらを落とすこともなく、さらに黒さを増しながら、縮んでいくまで眺めることができます。

カウントしたことはないのですが、真夏でも半月以上見せてくれます。放っておけばいつまでも続きそうなのですが、株が弱るのが心配です。最後は、「ご苦労さま」と、切り取ってやります。花の軸も丈夫で、花の重みで倒れてくるということもありません。

唯一つの難点はトゲ。細くて、皮膚に入りやすいトゲが沢山付くのです。刺さりやすい上に、一旦刺さると、小さいので、取りにくいのです。手袋をして触れば良いのですが、面倒くさくて、つい素手で触って、後で泣いてしまいます。

2022/10/2 抜いて、植え直し

花を切って、活けて、終わって(終わらせて)、花なしの枝先を水浴させていたら、丈夫なもので、カルスを作りました。土に植えましたが、虫にやられて、葉が何枚かダメになってしまいました。トゲのことを改めて考えて、ファニータは元の1株で十分かと、思い、捨てることにして、抜いたのです。

(この記事の最初に戻りますが)
ところが、そのカルスの上から出る根の出方に驚いて、この先どうなるのだろうか? と、興味を引かれて、植え直したのです。それが、最初の写真(↓)です。

2022/10/2 植え直しの時のファニータコルダナ挿し木の姿
2022/10/2 植え直しの時の姿

2022/10/2 抜いたものの、植え直しました。冬になって、一般的なバラ植え替え時期に、また抜いてみようかな、と思っています。この先長い話です。お楽しみに。

2022/11/1 また抜いてみましたが、カルスはそのまま

秋も深まり、成長もゆっくりとなりました。ついでに古い葉の先が少し茶色に枯れています。この辺で、一度抜いてみることにしました。

2022/11/1 抜いて撮影
2022/11/1 抜いて撮影

カルスには形や大きさの変化もないようです。根は同じ箇所からだけで、長さも数も増えています。

カルスには栄養を蓄えているのでしょうか。あるいは、春になれば、ここからシュートが出てくるのでしょうか? 次は春に新芽が出るようになってから、また抜いて様子を見ることにしましょう。

この挿し木には、何度も抜かれて、大変な迷惑ですが、ごめんね。好奇心のため。

2023/4/15 カルスに大した変化なし(完結)

春になり、新芽がワサワサと出てきました。シュートは出ていませんが、これで最終とするために、また抜きました。

2023/4/15の姿
2023/4/15の姿

去年に比べて、根が大幅に増えたものの、シュートが出そうな雰囲気もなく、趨勢に変化はないようです。ただ、去年までは何もなかったカルスからも、少し根が出ています。少し拡大して見ますと、

カルス拡大、2023/4/15の姿
2023/4/15の姿

カルスの左から2本、右下と手前下から1本すつ出ているのが分かります。カルスからも根が出る、ということです。が、結局、カルスが特別な働きをすることはないようです。

カルスは、いわば切り口のかさぶたのようなもので、できた方が良い、とか、ない方が良い、とかいうものではないのでしょう。カルスがほとんど無くて根が出てきたものもありました。枝の切り口の状態とか、枝の気分とか、それなりにバラの側の事情はあるのでしょう。

ウィキペディアによりますと、

カルス(英語: callus)とは、固形培地上等で培養されている分化していない状態の植物細胞の塊。植物細胞の分化は何種類かの植物ホルモンの濃度比によって制御される。このことを利用して、カルスの作製・維持、植物個体への再分化を操作できる。

・・・
現在、カルスとは前述の通りの意味であるが、もともとは、植物に傷ができたとき、その傷口に見られる未分化状態の癒傷組織のことを指していた。いずれにしても、形成過程の違いこそあれ、「分化していない植物細胞塊」という点で同一のものである。

ウィキペディアの「カルス (植物)」から

とのことでした。挿し木で考えれば、「癒傷(ゆしょう)組織」ということですね。条件を変えてやれば、いろいろ面白いことが起こるのかも知れませんが、材料も技術も、熱意もなし。ということで、カルスについては、ここで一応完結といたします。

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