水浴法で挿し木(前編 コップの中)

水浴法挿し木

私の経験では、挿し木自体はとても簡単なことなのです。

土に直接挿して、2,3ヶ月以上、根は出ているのか、枯れてきているのか、ハラハラ心配しながら水やりして、挙げ句に枯れてしまう確率が高い、というような手のかかることは、必要ないのです。切り口が十分隠れるような深さの水の中に、枝元をのんびり水浴びさせておけば良いのです。そしたら、根が出てくるのです。

発根促進剤も、実は、挿し木には有害無益なのです。以下に、説明していきます。

2週間+α の法則

1,挿し木にしたい適当な枝を、清潔なガラスコップに、清潔な水を入れて差しておきますと、1週間で、切り口がふさがれて(治るというか)きます。

2,次の1週間過ぎると、根が出始めます。

3,2週間から1月たった頃に、普通の土に植えます。(この期間の長短は種類によって様々のようです)

これだけです。この2週間というのは、春秋の挿し木に適している時期には、木系、草系を問わず、大体一定した目安となります。

変化を見る楽しみ

土に挿しておきますと、発根してくる部分は、全く見えなくて、ブラックボックスです。しおれやしないか、しおれて枯れそう、新芽が出た、しおれたけれど最終的に根が出た、と、長期間、甲斐ない心配をするしかありません。

しかし、ガラスコップに差しておきますと、失敗がないだけでなく、その変化が文字通り目に見えるのです。見る楽しみがありますし、変化に対応するのも楽です。

例えば、どうも、ハダニやアブラムシにやられかかっている、と思えば、コップから出して、逆さにして、水洗いしたり、薬剤をかけたり、簡単にできます。

コップのフチに引っかかって枝が浮いていても、コップの底に枝元が当たっていても、かまいません。枝元(切り口)が常に水中に入っていさえすれば大丈夫です。ただし、日が経てば、水は少なくなってくるので、切り口が絶対に水から出ないように、余裕を持って、少し多めに水を入れておく必要はあります。

ジンチョウゲ 6/1に水に浸けました

場所も、大して取りません。コップを直射日光の当たらない(透明ガラス越しの直射日光も強すぎるみたいです)、明るい室内に置いておくだけです。外だと、どうしても風が吹いて、乾燥しやすくなりますし、倒れる可能性もあります。日当たりの良い窓のそばのレースカーテン越しとか、蛍光灯や、スタンドなどの光源から少し離れて、明るいが、熱くならない所など、最高です。

最初、切り口は極めて不安定。 空気が入れば失敗

まず、水の中で。枝の元を、できればよく切れるハサミで、少し(5ミリくらい)切リます。カッターなど不要です。ペンチのようなものはダメですが、普通に良く切れるハサミで十分です。但し、もし枝が本木(もとぎ)から取ってすぐのものではなくて、萎れ気味でしたら、1時間くらい水に浸けておいてから切った方が良いです。切り枝が、しっかり水を吸い上げているようにしておくことが、ここでのポイントです。

(別に、斜めに切る必要もありません。斜めか、直角か? 斜めだと、水を吸い上げ易いように思えますが、切り口=切り傷が大きくなることにもなります。少なくとも、特に大きく斜めに切ることは、控えた方が良いのではないかと思います。)

もしこの際に、水を吸い上げる茎の道管に、空気が入ると、水の吸い上げがうまくできなくなり、しおれたあげく、枯れてしまうことになります。空気が入らないよう、水に浸ける時は、枝元が水の中に入っていること、また、水の中で枝の元を切ることが必要なのです。

ですから、枝を切った後、しばらく水に浸けておくとしても、その日の内に、水から取り出して、土に挿してしまうと、切り口がまた空気に接することになり、道管内に空気が入る危険があるのです。これが、通常の挿し木の一番の失敗原因だと思います。というか、むしろ、切ったその日に土に挿しても成功するのは、奇跡のように思えます。(通常の挿し木でやるなら、この危険な1週間は枝元まで水に浸かっているようにしたら良いのではないかと思います。)

水の吸い上げができなくなれば、それだけで、挿し木は失敗してしまいます。切り口が治るまでの間は、空気に接しない方が良いのです。

発根促進剤は、吸い上げ阻止剤というのが実感

発根促進剤というのは、私自身の経験では、一度も成功しませんでした。

だから言うのですが、発根促進剤は、水を吸い上げる道管をふさいでしまう働きがあるようです。道管は、もともと、根の膜で濾過されたものだけを吸い上げるものです。その切り口に、水よりはるかに大きな(ものによっては粉末)付けるというのは、とてもおかしな話ではないでしょうか。

ネットで見ましても、発根促進剤の成功率は、かなり低いようです。私の実感では、発根促進剤は、人の不安につけ込み、キャッチフレーズとしては最高ですが、実はあらずものがなの商品ではないかと、思います。

今紹介している水浴法(水差し)でも、発根促進剤を枝元につけて水に差したり、先に水に発根促進剤を入れて混ぜて、そこに枝を差しても、失敗率は格段に高まります。これは、実際に試したことです。

水を吸い上げる道管をふさぐ危険があるものは、発根促進剤だけではありません。例えば、土の粉末、微塵というか、水に入れて混ぜると、水を濁してしまう成分です。挿し木用の土には、そういう微塵のないものを使うべきかと思います。

水だけが一番=清潔な病室

最初の1,2日、切り口はまさに大ケガ状態です。樹液も出ます。バイキンにも弱いです。この時に、手荒なことをしたり、普通の土に挿してしまうと、吸い上げがうまくいっていたとしても、切り口がバイキンによって、傷んで枯れてしまいます。

コップの中の清潔な水は、切られたばかりの枝にとって、理想的な病室なのです。水にゆっくりつかって、傷口を直してもらいましょう。(念のために書いておきますが、蒸留水などは止めておきましょうね。多分、普通の水道水にある微量のミネラルが、挿し木に有効な気がします。)

バラ 6/13に水に差しました

最初は樹液も出ますから、それが水の腐敗の原因にもなります。ですから、特に最初の2,3日は、毎日水替えしましょう。

2,3日が過ぎれば、少し安心

2,3日経つと、人で言えば、血が止まって、薄いカサブタができてきます。こうなると、道管に空気や大きな物質が入ることもなくなり、バイキンにも強くなります。2,3日して、葉がシャキとしていて、水も濁っていないようですと、挿し木はほぼ成功です。これからは、水替えも、たまにで十分です。(ただし、アブラムシ、ハダニなどにはご注意を。根が弱い植物は、虫に食われやすいのです。ましてや、この段階では根がないのですから、よく見守ってください。)

さらに、数日後には、人で言えば、カサブタが皮膚になり始めます。

1週間を過ぎると、根作りが始まる

最初から1週間を過ぎる頃、コップの中の切り口をよく見ますと、切ったばかりの時と違って、何やら、モヤモヤしたり、なだらかではなくなったり、しています。新しい組織ができ始めているのです。(ガラスコップだと、変化を日々追うことができる楽しみがあります)

バラ、水に差して6日後。切り口に白いものがポコッと、これが根の始まりです。

バラ、水に差して9日後。根の始まりが増えて、大きくなっています。

ジンチョウゲ、水に差して21日後。(バラとはかなり様子が違います)

8日後に一部を、普通の土に挿してみた

もうこうなると、水から取り出して、しげしげ眺めても、全く問題ありません。ですから、これを土に穴を開けて、挿し込む、いわゆる挿し木にしても大丈夫ではないかと、思います。「水差しは嫌だ、何が何でも、挿し木土に挿し木だ」、という方は、この段階で挿し木にすれば、成功率アップは間違いないと、思います。1週間の辛抱で、成功率大幅アップです。

試しにやってみました。(これが、どうなっていくかは、「後編 植木鉢のバラ」をご覧ください)

バラ、6/21(水に差して8日後)。まだ根らしい根はありませんでしたが。試しに、箸で穴を開け、挿してみました。普通の、土です。残念ながら、上の写真で、右のもの(葉がないもの)は、そのまま枯れてしまいました。葉がないと根も作れないのかな、と思います。
こうやって植えてしまうと、しばらく、もう見た目の変化は見込めません。何週間か後の報告(後編 植木鉢のバラ)を、ご期待ください。(6/27に触ってみると、簡単にクルッと回ってしまうので、水差しのものと同じ根の状態だとおもわれます。)

2週間ころから根が出始める

2週間くらいになると、ボコボコした点のような白いものや、モヤモヤしたものが、さらに大きくなり、根っぽくなってきます。(今回の写真は、発根促進剤のためにしおれかけたものを、切り直して使ったので、少し弱ってしまったのか、根になるのがちょっと遅い気がします)

このバラには、事情がありまして、もらったものなのですが、発根促進剤が付けてあったのです。善意によるものです。私が試した発根促進剤とは違う種類だったので、少しの間、様子を見ていました。でも、やっぱり、しおれてきました。あわてて、枝元を切り直して、再開したのです。この切り直しが、6/13のことでした。

バラ、水に差して14日後。コブが大きくなりましたが、まだ根という感じにはなっていません。

根が出てくる所は植物によって、違います。切り口からだけ根を出すもの、葉があった付け根から根を出すもの、切り口の少し上から根を出すもの、いろいろです。

更に1月後になって分かったのですが、この2週間後の状態で、土に挿した方が良いのかも知れません。(1月後の反省は、ここをクリック)  ここから本格的に根として伸びるには、ここが暗いことが必要かも知れません。もう少し待つとしても、最初から1月後が、土に植える適期のように思います。この考えで、記事を一部書き換えました。

芽も出てくるが、喜ぶのはまだ早い

根が出始めるころには、上の方では芽が出始めます。が、これは水差し前からあった芽が、伸びてきただけです。この芽に対応する根が、まだありませんので、どんどん伸びることはできません。この段階では、「挿し木が成功だ」と喜ぶこともできません。

バラ、水に差して9日後

でも、この新芽も根作りのために光合成してくれる大事な葉です。虫などにやられないよう、注意しておきましょう。(結果的に、かなりやられてしまいました)

そこそこの根で土へ植えましょう

根が少なすぎても、心配ですが、多すぎても、植えにくくなりますし、いつまでも水に浸けたままにもできない、という気持ちもあります。

ジンチョウゲ、43日後

もう、立派な根になっています。どうしよう? もう少し待ってみようか。(実は、土に植えるのが、これよりもう少し早くても、良かったようです。30日後くらいで。)

バラ、30日後

塊はボコボコ、たくさん出ていますが、形が根になっていないです。まだ待ちましょう。

「これだけあれば、日陰だったら、十分やっていけるだろう」と思ったら、土に植えましょう。(この辺は経験です)--→この頃、土に植えるとちょうど良かったみたいです。(末尾の反省を参考にしてください)

まだ弱い苗木です、世間ずれもしていません。できるだけ、肥料分の少ない、清潔な土に植えましょう。と言っても、挿し木用の土とかではなくても、普通の培養土で十分です。もう傷は完全に治っているのですから。但し、肥料は絶対に追加しないようにしましょう(これで私は何度か失敗しました)。

苗木に限らず、肥料は控えめにしましょう。特に、雨の当たらないベランダ菜園などでは、基本的には肥料は不要です。

考えてみてください。日本の場合、普通の庭や畑では、線状降水帯を含む豪雨によって、土は洗われ、肥料分は流されてしまうのです。肥料が必要なのは、植物が吸収して減るからではなくて、雨で洗い流されるからなのです。ベランダ菜園では、全く違います。真夏には毎日のように水やりすると思いますが、それでも、線状降水帯のような豪雨とは比較になりません。土には保肥力もあり、日頃の水やりで流れる肥料は、ほぼ無視できるくらいだと思います。肥料の必要量は、屋根のあるベランダ菜園ではケタ違いに少ない、と考えるべきです。自然農法ではありませんが、腐葉土や前作の根が分解していくだけでも肥料となります。

2ヶ月後には、植木鉢の立派な主人

最初は強い風や、雨の当たらない明るい日陰、または明るい室内で、様子を見ながら。植えて1月後くらいには、本当の新芽が出てきます。こうなれば挿し木は成功です。

時には少しだけ日の当たる所へ、移して行くようにしましょう。枝を水に差して2ヶ月後には、小さな植木鉢の中で、一人前の顔をしていることでしょう。ちびっ子ですが。

でも、まだ、強い日差しや、強風には耐えられません。本当の活躍は、来年のことです。

土に植えた後の根の様子は?

土に一旦植えてしまうと、根の変化は、もう分からなくなってしまいます。この変化をもうしばらく追いかけるために、1本だけ水差しのままで残してみることにしました。

但し、養分が足りなくなると思いますので、液肥を薄めたものをビンに入れて、そこに差しました。

上の「花工場」原液を、一番薄い、「サボテン、・・・幼苗など」レベルの2000倍以上に薄めたものに、水差しして13日後のものを、差しました。これ以外のものが、根がしっかり出てきて、植木鉢に植えた後で、この1本の変化をしばらく追いかけていきたいと、思います。

さらに、考えを変えて、この液肥薄め液を、すべての水差しに使うことにしました。根を作る養分になるかと思い直して。

水浴法(水差し)でもアブラムシ

水浴法(水差し)の利点の1つは、コップから出して丸洗いできることです。葉が少し黄色くなって、ハダニか、アブラムシが疑わしくなってきました。毎日、逆さにして、水洗いして洗い流しました。

ところが、まだ黄化は進行します。60倍の顕微鏡で覗いてみると・・・何と、生きたアブラムシ!

カダンセーフを、かけたりしていたのですが、効果がなかったようです。それで、ゼンターリとカダンセーフの混合水溶液をかけてみました。

抜群の効果で、アブラムシは黒い死骸となり、枝は持ち直して来ました。

2週間から1月後をめどに鉢植えに(後編に続く)

土に植えてからは、ジンチョウゲはジンチョウゲ、バラはバラで、別の記事として、記録しておきたいと思います。

ジンチョウゲ

ジンチョウゲの方が、水に浸けたのも早かったせいか、48日後の7/18には、根もしっかりしてきました。

根は、白いというようより、茶色くなっています。これが、時期かと思って、植木鉢に植えました。

やはり、この色付きは、植えるのが遅すぎて、コップの中の環境が明るすぎて、根がスクスクと成長できなかった、ためだと、思われます。(末尾の反省をご覧ください)

この続きは、植木鉢のジンチョウゲ をご覧ください。


バラ

バラは、7/18には、まだ頼りない根です。もう少し待ちます。(実は、待つ必要はなかったのです)

水に浸けてから、38日後の7/21、根の状態は、下の写真です。まだ、根の形にはなっていませんが、そろそろかな、とも思います。

水差し中のもう1本ですが、下の写真のようになっています。

根の白さが失われて、黒くなっています。もしかしたら、ガラスコップの中で、明るすぎて、根になる気持ちが失せているのかな、という気もします。もう1つ上の、植えるつもりのものも、同じように、明るすぎて、根をうまく伸ばせなかったのではなかろうか、という気がしてきました。もっと早くに土に植えれば良かったのだ、と思います。反省

無色透明のガラスコップに入れるのは、水に浸けてから2週間後、コブがボコボコできる頃までにしておいて、その後は、植えてしまうか、光の入りにくい容器で様子を見るようにすべきなのかもしれません。

上の白い根の方は、7/21予定通り植えて、下の茶色の方は、茶色のガラス瓶で、もうしばらく、(できれば、他の植えたものがしっかりしてくるまで)様子を見ます。残した1本は、下の写真です。

38日後、7/21

この続きは、植木鉢のバラ をご覧ください。

前編は、以上です。

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