アルカリ洗濯で炭酸ナトリウムの投入量は?

洗濯

アルカリ(炭酸ナトリウムでの)洗濯(これの続きがこの記事です)では、実際、炭酸ナトリウムをどれだけいれるべきなのでしょうか? セスキでの洗濯とか、重曹での洗濯とか、いうのもあります。結論として、アルカリ洗濯ではきれいにならない、という説が広まっているように思います。

しかし、これは、炭酸ナトリウムをどれだけ入れて、pHをいくらにして洗濯したらよいのか、ということがあいまいにされているためです。粉石けんや粉洗剤では、何をどれだけ入れるか、ということがカンカンガクガク論じられていますが、アルカリ洗濯では何をどれだけ入れるか、ほとんど論じられていません。このことを、この記事で、つくづく考えてみました。

炭酸ナトリウムの使用量は少なめが良い、ではなさそう

炭酸ナトリウムを沢山使えば、それだけきれいに仕上がりそうに思いますが、そう単純ではなさそうです。

というのは、水中の金属分(主にカルシウム)が、炭酸イオンと結合して結晶となり、白濁するからです。その白濁が衣類付き、汚れ、ゴワゴワにつながる、と言われたりしています。また、強いアルカリで生地が傷むことも考えられます。コストもあります。きれいに洗濯されれば、それ以上に無駄に入れる必要はないわけです。

そういうことがあり、私自身、pH10を目安にして、その最少量のところで洗濯を、2年間続けてきました。これが最近になって、どうも不足に感じるようになり、もっと増やしてみればどうなのか、と考えるようになりました。

炭酸ナトリウムの量は、多すぎるのは問題でしょうが、ギリギリ少なめに抑えれば良い、というものでもないようです。この問題は、結構奥が深そうなのです。

白濁の問題->本当に大変なことなのか

まず最重要の問題は白濁です。ひどく白濁すれば、すすいでも衣料に残る可能性があります。それがゴワゴワや、ましてや、汚れにつながれば、大変残念なことです。

使っている水が白濁しにくいものか、また、白濁をどの程度許容できるか、によって、判断は異なってきます。最初は、この白濁を一番恐れて、炭酸ナトリウムの量を抑えてきました。

下図のように、0.04%あたりでpHはやっと10になります。白濁の悪影響を恐れて、この0.04%で2年間、洗濯を続けてきました。もちろん、白濁のために衣類が汚れて困る、という経験はありませんでした。

炭酸ナトリウムの濃度によるPHの変化

しかし、2年間続けてきて、汚れ落ちに不満を感じるようになりました。これは、炭酸ナトリウムの使用量を抑えているせいではなかろうか、と思うようになりました。

日本の水は軟水なので、白濁については、そう心配する必要ほどの量ではないのではないかと思うようになりました。炭酸ナトリウムを溶かしてしばらくは澄んだままですが、洗濯開始して、しばらくすると、薄い白濁が出ます。終了時にはさらに濁っているというわけでもなく、それだけのことです。

炭酸ナトリウム投入量を増やせば白濁がひどくなる、ということではない

しかも、一定のアルカリ度を超えて、金属イオンが全て白濁してしまえば、それ以上に炭酸ナトリウムを入れても、白濁が増えることは考えられません。実際の体験では、2年間続けてきた0.04%から倍の炭酸ナトリウムを入れるようにしても、濁りがひどくなったという実感はありませんでした。白濁の量は水の成分で決まっていて、アルカリ化し、炭酸イオンが増えると、一定量の白濁が出て、それでおしまい、みたいです。

炭酸イオンのない水酸化ナトリウムを使えば? という考えもあるでしょうが、水酸化ナトリウムは、劇薬に指定されている、大変危険なものなので、日常の洗濯に使えるものではありません。

普通の粉石けんや粉洗剤にも炭酸ナトリウムが沢山入っています。当然、白濁しているはずですが、石けん分の白濁もあるので、混ぜこぜになって、分からなくなっているのです。この白濁を抑えるために、粉石けんの量を減らせ、なんていう意見はありません。水道水では、白濁は問題にならない量なのです。

炭酸ナトリウムの量を増やすと、白濁は流れ去りやすくなる

関東では比較的水の硬度が高いと言われています。千葉では、水30リットルに対して、炭酸ナトリウム15gあたりから濁りがはっきり出てきます。(入れてすぐ濁るというのではなく、洗濯終了時に濁りがある、という感じです) しかし、洗濯後の排水、脱水の後、最初のすすぎの時には、もう濁りは全くありません。この程度の濁りでは、悪さをすることはなさそうです。

不思議なのは、炭酸ナトリウムを0.04%から倍の量にすると、白濁は同じようですが、洗濯槽の隅などに残る白い粉が激減したのです。濃いめの炭酸ナトリウム水は、白濁を増やすわけではなく、白濁の程度はそのままで、むしろ白濁を、きれいに洗い流してしまうみたいなのです。

白濁に関しては、炭酸ナトリウムの量を増やすことは、問題ないようです。

ただ、白濁を気にする人は、浸け置きは避けるべきでしょう。長時間にわたって白濁水に衣類をさらせば、やはり衣類に吸着されやすいでしょう。つまり、炭酸ナトリウムを溶かした洗濯水に衣類を入れて、すぐ洗濯、続けて、すすぎ、脱水で白濁も流してしまう、という通常の工程だと、白濁の吸着を心配する必要はないと思います。実際、経験的に、まったく問題ありません。

洗濯終了までpH10を維持できる量の炭酸ナトリウムが必要

成分が記載されている、ある粉石けんの通常使用量(水30Lに粉石けん40gが普通)では、その内、炭酸ナトリウムは16g含まれていることになります。この辺が目安でしょうね。ここでは、炭酸ナトリウムだけで洗濯するので、粉石けん分もカバーして、炭酸ナトリウム30gということで、どうでしょうか?

炭酸ナトリウムは、(汚れの脂肪酸と結合して中和される、など)洗濯に際して汚れで消費されるので、その分を含めて、多めに=水30リットルに炭酸ナトリウム(pH10になり始める)12gの2倍プラスおまけ=30g(0.1%)が、体験的には、適量のようです。

洗濯中にpHは下がってくる

pH試験紙を使って計測しますと、水に炭酸ナトリウムを溶かしただけの状態から、(予洗いしてありますが)洗濯物を入れて、5分間洗濯、15分間洗濯の時点でpHを測ってみますと、その度にpH試験紙の色は(同じ10なのですが)少しづつ中性側に移っています。(pH11に近い10からpH10強そしてpH10ドンピシャへと)

図にしてみました。洗濯終了時にしっかりpH10であるためには、やや強めのpH10にする必要があり、0.1%の炭酸ナトリウムが適当、ということになります。

上の折れ線グラフでは0.04%から右は全てpH10となっていますが、pH試験紙の色は微妙に変わっていきます。しかし、それを全て10と読んだのです。
しかし、この図では、微妙な色違いを、弱、中、強、と強引に読み込みました。同じ箱の試験紙ですので、許されそうに思います。

水質、衣類の汚れ具合、予洗いのあるなし、などによって数字は違ってきます。ただ、洗濯が進むに連れて、洗濯水のアルカリ度は中性側に動いていく、ということだけは言えます。

体験的に炭酸ナトリウムは0.1%(30g/水30L)あたりで落ち着きました。これで洗濯終了時に、pHは10ドンピシャとなっているのです。以前の0.04%に比べると、大変良い仕上がりとなります。弱アルカリ性とはいえ、少し強めですが、アルカリによる衣類への害は感じられません。(洗濯物は、普段着で、木綿、化繊のものです)

pH8から11までが弱アルカリ性と言われていますが、以前の0.04%の洗濯は、実はpH9で、弱アルカリ性でも弱い方の、弱アルカリ性の洗濯だった、ということですね。0.1%で、やっとpH10の、やや強めの弱アルカリ性洗濯と言えるものになったのです。このpHの、たった1の違いは、びっくりするほどの仕上がりの違いになります。

炭酸ナトリウムが多いほどきれいになる、が・・・

試しに、炭酸ナトリウムの量をさらに増やしてみました。増やすほどきれいに仕上がる、という関係があることが分かりました。
さらに思い切って倍量にしてみました。ははあ!と、やはり、さらに(わずかですが)きれいになったように思います。倍量だと、pHは洗濯開始時にはしっかり11,洗濯終了時に11弱、というところでした。これでも普段着の洗濯では、衣類にも洗濯機にも、弊害のようなものはありませんでした。しかし、コストの問題もありますし、0.1%を基本にして、ご家庭の事情に合わせて、さらに増やしたり、減らしたりしてみてはいかがでしょうか。

私は、今のところ、0.1%濃度に3割増しの炭酸ナトリウムを使っています。(例えば、30リットルの水に30g×0.3=39gです) 使っているスプーンでもう1杯なのですが、この3割増しが意外と、安心してきれいになる、おまじないのような気がします。0.1%でも構わないし、3割増し以上に入れる必要もない、というところです。いずれにしても、0.1%というのは基準になる数字だと思えます。

また、過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)は、少し加えると、少し、よりきれいになるように思います。問題は起こらないようです。これもおまじないです。

下に紹介したものは、5kg入りです。送料込みで、2500円くらいになりますが、1日30g使うとして166日、ほぼ半年分になります。(しかも、炭酸ナトリウムは洗濯以外にも、いろいろ役立ちます) 5kg入りで3袋まとめての購入だと、送料無料になりますが、これは炭酸ナトリウム洗濯が軌道に乗ってからの話ですね。

合成洗剤に比べると、はるかにスッキリした仕上がりですので、少し多めにしたり、戻したりで、やっていきます。過炭酸ナトリウムや粉石けんを入れてみたり、やめてみたり、これもいろいろやってみています。

廃油で作ったらしい粉石けんを少し入れて、2,3回洗濯して、外干ししたら、廃油のニオイ(古い天ブラ油のような)がものすごく残りました。すぐ止めましたが、気にならなくなるまで半月くらいかかったことがあります。粉石けんも、合成洗剤同様に繊維に付着するものなのですね。

水質、汚れ具合など、各家庭の事情は違います。実際に洗濯してみて、洗い上がりなどを見ながら、いろいろ加減していかれたら良いのではないかと思います。

最後に宣伝ですが、予洗いについては、次の記事を参照してください。

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