電力需給逼迫から電気代の値上がりへ-冬の節電へのヒント-夏にも

寒さ・暑さ対策

4月並みの暖かさから一転、真冬並みの寒さとなって、電力需給逼迫警報が出ました。寒さ対策を、少し考えてみました。(2022年のことです)
今(2023年)は電気代の値上がりが問題となっています。9月半ばというのに、猛暑日、熱帯夜が続いていますが、いずれは寒い冬がまた来ます。去年の記事を少し手直ししました。

寒さ対策として、次のような記事は優れたものだと、思います。

効率的なエアコン暖房など、家庭で実践したい冬の節電対策まとめ – Yahoo! JAPAN

しかし、さらに付け加えたいことがあります。

頭巾、首巻き、スカーフ

まず、第一に体から熱を出さないようにすることです。服は厚着をしているとして、首から上は、たいていむき出しです。動きやすいので、体をよく動かすのであれば、暖かくなって良いのですが、大人は、あまり動きません。なので、冷えは首から上から始まります。

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で紹介されていますが、一昔前まで、御高祖頭巾を始めとして、寒さ、暑さ、日差し、風に対して、首から上を覆っていたものです。暖房が行き渡ったおかげで、マフラーだけが、わずかに残った感じですが、それも室内では外してしまいます。

私は、どうも、人より首、耳の冷えを感じやすい方みたいで、いろいろ探したり、手作りしたりして、来ました。おかげで、結果的に省エネにつながっています。

残念ながら、これは販売終了になってしまった。コットンのヘタレやすいものに変わった。

まず、首巻きです。上の写真は無印良品のヘアバンドですが、首巻きにすると、外で着けてもあまり違和感がありません。(ないのは私だけで、他の人は驚いているかも知れません) これ一つで、ベスト1枚に相当する暖かさです。真冬は室内でも着けていて、首のコリ防止にもなっているように思います。

マフラーも良いのですが、その長さの内、ほとんどが余りで無意味、というのが情けないですね。かさばって、汚れるばかりだし。

頭巾です。着なくなったニットのシャツを切って、袋に縫いました。(端の始末もしておりません) 自分を鏡で見ても異様なので、外では着けません。外では、せいぜい、TPOを選んでの、耳当て付き防寒帽です。でも、室内で頭巾を着けていると、省エネだけでなく、耳の冷えが防げて、耳鳴り、聞こえにも効果がありました。耳の冷えがないと、気分的にも楽になります。意外と、耳の冷えは、感情(ピリピリするか、穏やかになるか)に影響します。

頭巾については、つくづく総合研究所(分館)の記事、

防寒頭巾の作り方

も、参考にしてください。

スカーフも、簡単に着けられるし、オシャレで良いですね。首にスカーフを軽く巻くだけで、結構暖かくなります。絹、インド綿などが、柔らかくて、着けやすいです。

手袋も良いのですが、何をするにも、特に、水を触ったりするのに、邪魔になってしょうがないので、寒風の中に出かける時くらいです。

マスクは今や外では、常識になってしまいましたが、室内でも着けると暖かいですね。でも、耳が痛くなってしまうので、頭巾を顔にもかかるようにかぶったりすると、良いです。

空気清浄機で空気を下から上へ

空気を循環させるのにサーキュレーター、とは良く聞くことですが、実は、サーキュレーター、うるさい割に、あまり循環性能はよくありません。扇風機のほうが、静かで循環性能も上なのです。が、床に置いて、上の方向に風を吹き出す、という扇風機がないのが、難点です。横に寝かせるのでは、場所を取ってしまうし、見栄えも悪くなります。

そこで、おすすめしたいのが、空気清浄機です。

PU-HC35-WA 象印 空気清浄機

これは、前面から空気を入れて、上方に吹き出します。床面積も取らないので、すっきりします。結構静かな方だと感じます。この機種の難点は一つ、36時間タイマーがあるので、1日に一回はスイッチを入れ直す必要がある、ということです。(しかも、入切のボタンがないので、1つのボタンを何回も押して、左端からメニューをなぞっていきます)

前面カバーの下、内蔵フィルターの前に、薄い布1枚を取り付けるようにすると、フィルターの痛みが少なく、布の洗濯だけできれいになります。

エアコンの温度設定は、湿度(しつど)と密接に関係する

湿度(しつど-温度と湿度はなぜこれほど区別しにくいのでしょう?)が上がると、それだけで、寒さは和らぎます。「今日は寒いな」と思って、湿度計を見ると、50%以下。湿度が低いと、寒さが鋭さを増すように思います。

この際、調べてみました、湿は旧字体では

で、一番昔の甲骨文では、

みたいな感じで、糸を水につけた様子を表し、しめらすの意味を表す、そうです。

ついでに、温は、篆文では、

で、もと、川の名前で、借りて、暖かいの意味を表す、とのことです。この温の字が、安易なのでしたね。

以上、閑話休題でした。

逆に70%を超えると、エアコンの暖房ですぐ暖かく感じます。80%を超えると、さすがに湿気を感じます。冬場は、湿度70%前後を目標としています。

洗濯物は部屋干しで、加湿器になる

エアコンの設定温度の適正値は、温度だけで決まるのではなく、湿度と密接に関係するのです。同じ温度でも、湿度の低い日は寒く、湿度が高い日は暖かいですね。

しかし、加湿器など不要です。毎日の洗濯物に、十分な水分があります。私は、南風の、湿気の多い日を除いて、冬場は部屋干し専門です。特に取り入れる必要もなくなるので、楽です。洗濯物が多い場合は、乾きにくいものだけを外に干すようにすると良いでしょう。

部屋干しの難点は、部屋干し臭です。しかし、これは、汚れ残りというよりは、合成洗剤の付着によるものです。合成洗剤をやめて、炭酸ナトリウムだけでの洗濯、または炭酸ナトリウム主体に合成洗剤を少し加える洗濯に変えると、洗い上がりもすっきり、室内干しでも、ニオイの心配はありません。次の記事をご参考に。

朝干して、夕方には完全に乾く、というのは無理な場合がありますが、翌日夕方には、十分乾きます。その間、電気代のかからない加湿器として働いてくれています。特に、上記の空気清浄機の上に干すようにすると、加湿にも、乾燥にも効果的です。

タバコを吸う人がいると、臭いがつきますね。健康のためにも、この際、やめてもらいましょう。(これが一番難しいかも?)

押入れ結露の常識の嘘

ここで、少し脇にそれますが、結露の話です。冬、暖房すると空気が乾くし、加湿すれば、それでもなくひどい結露がさらにひどくなります。大変悩ましい問題です。

押入れなどには、除湿剤とか、換気とか言われますが、実際、やってみれば、そうしたものは全く無意味だということは分かります。なぜでしょうか?

完全密閉された所ならまだしも、開けたり閉めたり、その上、扉は隙間だらけ。小さな除湿剤では話になりません。
扉を開けて、風を送っても、カビ臭さは減るかもしれませんが、結露はかえってひどくなります。加湿器を使っていれば、湿気を押入れに送っているようなものです。

湿気の性質を考えれば、それは当然のことです。空気中の水蒸気というタイトルで分かりやすい、素晴らしい資料が見つかりました。以下の2つのグラフを引用させていただきます。

上のグラフでは、気温Aの時に(相対)湿度は60%くらいだと思いますが、気温がBまで下がると100%の湿度となります。さらにCまで下がると「この水蒸気が水になる」という太線部分が水(状況によって霧や露など)になります。

「湿度は60%で、快適だよ」と思っていても、冷たい壁に空気が当たっていると、太線部分が壁に結露するのです。では、実際の温度では、どんな感じになるのでしょうか。

上のグラフで、x軸は温度(℃)です。y軸は中央が飽和水蒸気圧hPa、右が飽和推移蒸気量g/m3となっています。

例えば、暖房された部屋で、25℃になっていたとします。空気中の水蒸気量が11g/m3(15hPaの点線)だとすると、(相対)湿度は50%弱くらい、やや乾きすぎです。ところが、押入れの扉を開けると、その空気が中に入って、外壁側の面(外気温は4℃、内壁は8℃になっているとしましょう)に接触するので、空気1m3当たり、3gが結露するしかないのです。
実際は、またすぐ扉を閉めるので、入ってきた空気が、押入れの中の物(結露点以上だが、十分冷えているので、入ってきた部屋の乾いた空気に対しては水分を供給する)の湿気を取り込みながら、ゆっくり温度を下げていき、循環して壁に接触するたびに結露していくことになります。
押入れの壁に当たって結露した空気は、水蒸気が減って、8℃と25℃の間の温度で、少し乾いた空気となって、循環します。

これを除湿剤で解決しようとすると、25℃、50%湿度の空気を瞬間的に30%湿度に下げるか、8℃と25℃の間の温度(仮に中間の17℃として)という除湿剤には大変厳しい低い温度で、押入れの中の空気全体を70%から60%に下げる能力を要求することになります。

扉を開けて換気ではどうでしょう? 25℃、50%湿度の空気は、8℃の壁に接触するたびに結露するだけで、結露した水を乾かせる能力はありません。押入れの中で十分冷えている物に暖かい空気を当て続けると、その物を乾かすかもしれませんが、温度と湿度次第では、そこで結露する可能性もあります。
露はなくならない、部屋の空気は冷える、で良いことはゼロです。
壁に結露するような寒い時期には、押入れの扉は、なるべく開けない方がよいのです。

結露してしまえば、乾いた布で拭き取るのが、一番です。

一番肝心なことは、断熱

最後に、一番難しいことで、一番肝心なことがあります。それは、家の断熱です。この断熱のことは、冬に限らず、夏にもまた重要で難しいことです。

冬になると、壁、窓が結露してしまうお家は多いと思います。結露は、空気の温度と湿度が奪われている証拠です。押入れの結露も、同じことです。

部屋の中の空気

少し極端ですが、部屋の中の空気は、上図のようにエアコンなどで中央部だけは暖かいものの、床から、壁や窓から、天井からどんどん冷やされて、いきます。暖房機から少し離れると、寒くなってしまいます。

これをまず、何とかする必要があります。しかし、費用的にも、時間的にも、大変な負担となります。工務店に頼んでも、しっかりした考えと技術がある所だと良いのですが、いいかげんな所だと、冷気侵入箇所を残してしまったり、見えない所の手抜きで、効果半減になってしまったりします。

木造1戸建ての新築現場を見かけることもよくありますが、断熱材を使うにしても施工がおざなりです。しかも、何かにつけ隙間だらけだし。自動車の省エネは、工場でできることだし、ある意味で簡単だと思うのですが、住宅の断熱こそ省エネの天王山です。それは快適さにも直結します。

DIYで壁の断熱工事に挑戦してみては?

詳しいことは書きませんが、私の中古マンションも、自分で手直ししてみて、驚くべき手抜き工事をいくつも発見して、憤慨したものです。マメな人で、時間があれば、DIYをぜひおすすめします。壁の断熱工事をやってしまうと、当然ながら、夏は、より涼しく過ごせます。

断熱材としては、カネライトフォームや、スタイロフォーム、ウッドラック ザ スリムなどがあります。いずれも、燃焼遅延剤添加、微少火源では着火しにくいが、燃える性質はある、というものです。これを壁や天井に貼り、ビニルクロスを貼って仕上げると、見栄えも良く、冷気は驚くほどさえぎられます。最大の問題は、配達で、「【車上渡し】【個人宅配送不可】【不在時持ち帰り不可】」、と大抵このようになっています。ホームセンターで買って、軽トラックで持ち帰るほかはないのでは、と思います。

とりわけ、ウッドラック ザ スリムは、表面がきれいで、しっかりした固さもあり、これを壁に貼っただけで、板をその上から貼る必要がないほどです。この上に、ビニルクロスを貼れば、プロ並みの仕上がりになります。

ウッドラック ザ・スリム(メーカーページです)

↓は楽天ショップです。

断熱材を持ち帰るのが大変、それを壁や天井に貼りつけるのは、もっと大変。長期休みを潰すしかありません。(しかも、壁などがよく乾いている時期でないと、接着剤が働きません) 私は、根性でやりましたが、実際には、工務店と、しっかり打ち合わせて、やってもらうのが一番良いかとも、思います。

貼り付けには、通常のゴムボンドは使えません。穴が空きます。シリコーンシーラントが安くて、手に入りやすく、最適です。(私の部屋の断熱材も、中央が浮いてプカプカしていました。結露のためかと思い、貼り直そうと、開けてびっくり玉手箱! ゴムボンドを使ってあったので、ボンドを塗った部分が溶けて凹んでいました。ひどい工事です。)

窓も冷気が、ものすごく入る(というか、一番入る)ので、二重窓(ガラスの二重だけではあまり効果なく、内窓方式が必要かと思います) プラマード、インプラス、あるいはDIYできそうな簡易内窓キット、などがあるようです。

でも、借家では、たいてい「原状回復義務」があります。寒さをしんぼうするしかない、ということです。
寒さ耐え エコになれない 借家人

忘れられがちな床の断熱-畳を生かす

足の冷えに悩んでいる方は、よくご存知でしょうが、床からの冷えもつらいものがあります。特に心配なのが、床のフローリング化が、流行っていることです。掃除しやすいとか、見栄えが良い(欧米風がかっこよい? 2、300年前までは中国風がかっこよかったんですがね) とかあるみたいで、畳をはがして板の間にするお家が増えています。

フローリングは、騒音問題だけでなく、断熱という観点からも、好ましいとは思えません。畳は、音を和らげるだけでなく、断熱効果も抜群です。あれだけの厚さの断熱材をはがして、薄っぺらで熱の伝わりやすい板にするのが、私は理解できません。板の間にしたいのであれば、ウッドカーペットのように、畳の上に板を敷けば、さらに断熱効果が高まります。騒音問題も起こしません。畳の隙間からの風も防げます。寒さ対策(暑さ対策)の観点から、フローリング化は、ぜひとも、考え直してほしいものです。フローリング化をあきらめるだけで寒さ対策になるのです。

「畳の隙間からの風」と言いましたが、一度畳をはがして、そこに断熱シートなどを広げて、その上に畳を敷くようにすると、隙間風が防げて、少し違います。

エアコン16℃設定で、室温18℃、湿度68% 快適

以上の結果として、(当然ながら、冬の話です)

左はエアコンのリモコン、右は時計

エアコンは16度設定で、室温は18.1℃、湿度68%になって(テーブルの上)、暖かく過ごしています。

以上、この記事では

頭巾、首巻き、スカーフ

上方吹き出し式の空気清浄機

洗濯物の室内干し

を手っ取り早い防寒、省エネ対策として、提案させていただきました。

窓、壁や天井などの断熱は、節電の決定打と言うべきですが、いざやるとなると大変すぎるので、ここでは詳しいことはパスしておきましょう。DIYサイトで調べてみたり、リフォーム屋さんと相談したりしてみてください。

今夜、停電か?

とのことですので、この記事もそこそこに、パソコンも消して、省エネに努めます。

やはり、原発は必要かなあ。再生可能エネルギーは、お天気屋さんだし。

(3/23追記)停電は、ありませんでした。良かったですね。
(2023/9/12追記)この項目、懐かしくて消せません。

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