エアコンは、はっきり言って、汚れとの戦いです。家電と言えば、いろいろな種類がありますが、エアコンほど、汚れやすくて、掃除しにくいものはありません。特に、送風ファンです。簡単に送風ファンを掃除できる機種が、なぜ出て来ないのか?
エアコンの汚れは健康に悪い
汚れは、何より健康に悪いです。バイキンやカビが吐き出す有毒ガスを、毎日何時間も吸い続けなければならないのです。扇風機並みに、エアコン送風ファンを掃除できるように、なぜしないのか? この現状だけで、私は家電メーカーに不信感を持ちます。
が、怒っているだけでは、これも体に悪いので、意識をそらせて、エアコンを汚さない工夫を考えてみましょう。
エアコンの上にプレフィルターを載せたらどうでしょう?
家庭用のエアコンといえば、たいがい似通ったもので、まあ、このようなものです。
この一番上にある、空気の吸込口に、薄い布を載せ、空気がここで濾されて、エアコンの中に入っていくようにしようということなのです。
たったこれだけの、簡単なことで、エアコン全体の汚れが激減してしまうのです。
その前に、一般的なエアコン掃除の仕方を、振り返ってみましょう。
フィルター掃除自体は簡単
エアコンの中には、熱交換器があります。そこに空気が送られる際に、熱交換器にかぶせるようになっているフィルターを、空気が通るようになっています。フィルターを通った空気が熱交換器で冷やされ(冬は暖められ)た後、下にある送風ファンで、室内に吐き出される、という事になっています。
エアコン室内機の汚れといえば、室内に浮いているホコリと、もっと細かい有機物、無機物、そしてそれを養分にして繁殖する微生物とその分泌物です。備え付けのフィルターが、大まかなホコリを取りますが、そこを通り抜けたものが、熱交換器に接触します。
フィルターは、大抵は取り外して水で洗えるので、汚れが見えたら、水洗い(お湯だともっと簡単) をおすすめします。簡単なことです。
フィルターの「ホコリが落ちるので、掃除機で大まかに吸い取ってから」という説明も見かけることがありますが、そんなにホコリを貯めないで、早めに清掃しましょう。高所に、「掃除機で」などと考えていると、億劫になり、汚れはひどくなるばかりで、エアコンの効率は悪くなるし、室内の空気も汚れます。
お部屋の空気の汚れ次第ですが、煙草を吸わなければ、月1回もやれば、十分です。
「エアコンの自動お掃除機能」とは、このエアコン掃除中で一番簡単な、フィルター掃除が、不必要になる、ということらしいです。でも、自動で掃除してくれる機械の掃除が、もっと複雑で、大変になります。フィルターを水で丸洗いすることもしないので、中途半端です。
フロントパネルを開けると、フィルターがホコリをかぶって白っぽくなっているようであれば、すぐ取り出して(簡単に取り外せますね)、水洗いすれば良いのです。柔らかい歯ブラシを、専用に用意しておくと、指で洗う必要がなく、楽です。
これなど(↑)、柔らかくて、幅広く、フィルター洗いにもってこいです。もっとも、この記事の主題=プレフィルターを取り付けますと、付属のフィルターは、ほとんど汚れなくなってしまいます。
熱交換器は意外と汚れにくい
フィルターをくぐり抜けた(くぐり抜けるのでなく、フィルターを通らず、脇から入ることもあります)空気が次に接触する、熱交換器の汚れは微妙です。冬は熱せられて、乾燥しているので、微生物は繁殖しにくくなっています。熱交換器は金属(アルミニウム系)でできているので、静電気を持つ、ということもありません。また、熱交換器の面積は大きいので、それに当たる空気の速度は遅く、熱交換器に付着する汚れは少ないものです。
夏は、水分があっても、冷たいので、エアコンが動いている時、微生物は、繁殖しにくくなっています。しかも、夏は室内の湿気が、熱交換器にどんどん結露して、熱交換器を洗うように外へ流れていくので、意外と汚れにくく、むしろ、熱交換器は、室内空気を水で洗って、きれいにしているとも、言えます。
ですから、どうしても気になれば、夏の終わりに、エアコンを止めて、前のカバーを開け、フィルターを外して、薄い洗剤水(アルミニウムですので、中性洗剤以外は厳禁です)をスプレーし、さらに、水だけをスプレーして洗剤分を流すと、かなりきれいになります。(洗い流すのですから、「エアコン洗浄スプレー」などを熱交換器にかけるのは、全く無意味です。不必要です。) ただ、どうしても水滴がエアコン下に落ちますから、その対策が不可欠です。また、横の電気回路に、水滴が当たらないように、十分気をつけてください。(故障の原因)
夏場に、エアコンが止まりますと、そこは適度な水分、汚れによる養分、ついでに温度は上がってくるので、微生物には実に快適な状態になってしまいます。そのため、「内部クリーン」という、送風で乾燥させ、少し加熱して微生物を死滅させる機能が、大抵の機種には用意されています。これは、なかなか効果的です。
このように、熱交換器は意外と汚れにくく、掃除しやすいのです。
最後の送風ファンが大変汚れやすく、やっかい
フィルターでも、熱交換器でも取れなかった汚れが、送風ファンを通って室内に戻ります。室内に全部戻ってくれればまだしもなのですが、そうはいきません。
汚れ自体は、入ってくる空気に比べれば(特に夏は格段に)少ないのですが、汚れがファンに当たって生まれる静電気もあり、送風ファンに汚れがこびりついてしまいます。この汚れが大問題を起こします。
扇風機でも、体験されていると思いますが、前後のカバー以上に羽根が汚れるものです。風を送るわけですから、ファンは速度と力で強引に空気を押出します。ただ汚れが当たって付くだけでなく、静電気的な反応も起こして、(下敷きで髪の毛)、こびりつきやすくなるのです。静電気ということであれば、むしろ、冬の方が送風ファンに汚れが付きやすいと、考えられます。熱交換器の結露による清浄化も働かないですから、よけいです。
冬の間についた汚れに、夏になって熱交換器から湿気が送られてくると、送風ファンに暮らす微生物にとっては、なかなかに快適な状態となってしまいます。(そして再び冬には、乾燥、固結し、夏の再活動を待つ、ということになります)
「内部クリーン」は、熱交換器には効果がありますが、送風ファンに対しては、乾燥効果しかなく(それでも、無いよりはましで、送風ファンにとっても、かなり違います)、送風ファンに暮らしている微生物は、乾燥を耐え忍べば、「内部クリーン」で死滅することはありません。
しかし、送風ファンの掃除は考えられていない構造
ところが、現在の家庭用エアコンは、この最大の難問の送風ファンを掃除することができません。取り外しは、素人にはできないようになっています。奥まった、隠れた所にあって、見ることさえままなりません。取り外せるのは、エアコン清掃の(一部)プロだけです。
大概の清掃業者さんは、この一番掃除の必要な送風ファンを、そのままにして、掃除終了、としているようです。それだけ、取り外しが難しいということなのです。
風向きを調整するためのルーバーが、ファンの前に陣取っていて、上下に動くものは外せても、左右に動く部分は、たいてい外せないのです。前のエアコンを、ついにここを切り取ってみましたが、それでも送風ファンは、素人には、とても無理でした。
送風ファンのすぐ上下の、見えない部分にも、受け板があります。これにも汚れがこびりつきますが、ここにも、ルーバーとファンが邪魔して、手が届きません。
送風ファンの清掃機能付き、というのもありますが、実は、ファンの外側をブラシのようなものでなぜるだけです。ファンの内部、ファン1枚1枚の凹み、汚れた空気が最初に当たって、汚れが最も付く部分には、かすりもしません。
ファンは結局きれいにならない上に、この清掃ブラシの清掃が、また大変なことになりそうな代物です。こんな無駄なことをしないで、ただ、送風ファンを、簡単に取り外して丸洗いできるようにして欲しいものです。
日本の家電メーカーに、それを実現できる技術はないのでしょうか? 多分、SONYがiTuneに負けたように、何かの損得勘定があって、出し惜しみしているだけだと思います。エアコン掃除業者からの圧力?はないか。エアコン掃除業者さんも、泣いているみたいだし。ヤレヤレ。
送風ファンの汚れ防止には、かなり細かいフィルターが必要
結局、問題は、送風ファンの汚れです。清掃できないので、汚れの付着を防ぐことを考える必要があります。
付属のフィルターをくぐり抜ける、あるいは、かすり抜ける、細かい汚れです。
付属のフィルターの目は意外と粗くて、多分、ホコリが室内を舞うことを防ぐためだけのものだと、思われます。しかも、フィルターの左右から、フィルターを通らずに入ってくる空気もかなりある、という構造になっています。
そこで、一番上の空気取入口、最初の入口に、プレフィルター(フィルターの前にあるということで、プレフィルター)をスッポリ、しかも、かなり目の細かいものを取り付ければよかろう、と思いました。
構造を見ますと、一番上に、例えば手拭いなどをおきますと、それだけで、他からは、ほとんど空気が入らず、ほとんどすべての空気がこのプレフィルターを通るようになることが分かります。付属のフィルター取り付け箇所のスカスカ構造を考えると、驚くほどです。
さっそく取り付けてみました。
こんな感じですね。上の青色がプレフィルターだと、考えてください。
問題=プレフィルターの空気抵抗は許容されるか?
付属のフィルターはスカスカですが、布1枚(手拭い)となると、はるかに抵抗が大きくて、吐き出される空気の勢いが、はっきり分かるほど弱まります。
でも、付属のフィルターがかなり汚れた状態と同じくらいの抵抗である、と考えれば、製造設計の許容範囲内ではないかと、思えます。
空気抵抗は小さいに越したことはないので、手拭い(プレフィルター)は、汚れる前に洗うようにします。 シーズン中は、ざっと水洗い(湯洗い)で十分だと思います。洗濯機で脱水すれば、湿ったままでもすぐ使えます。カバーを開ける必要もないので、掃除(洗濯)は簡単です。エアコンのある部屋の空気の汚れ次第で、洗濯の頻度が決まります。ホコリ、汚れの少ない部屋だと、月に1回、で十分みたいです。
ただし、高い所にあるので、しっかりした台を用意して、転倒などなさらないように。
付属フィルターの汚れは激減、ほとんど汚れない
プレフィルターを付けた後、付属フィルターが、ほとんど汚れないのを見ると、プレフィルターの効果を実感できます。
フィルター掃除が、手拭いの水洗いだけで済むのは、全く楽ちんです。(高い所なので、足台が必要です、転倒しないように気をつけて!) これで、エアコンが汚れにくく、空気はきれいになるのですから、うれしいですね。
専門業者にお願いするエアコン掃除の頻度も、かなり減らせるのではないかと思います。(多分、全く不要になります) 時間も費用も、大助かりです。汚れたエアコンを、この際、無駄な機能がなくて安い、省エネ性能の高いものに買い替えて、きれいなエアコンでプレフィルターを始めるのも、いいかも知れませんね。
意味がない「自動おそうじ(?)機能」
エアコンを買う前に知っておきたい一番意味がない「自動おそうじ機能」はコレ! は、必読!
面白くて、ためになります。ぜひ行ってみてください。私としては、「現在の自動おそうじ機能は、全て意味がない」と言いたいです。意味がないどころか、邪魔なだけです。
もともとメーカーでは分解洗浄など考えていないのかもしれませんが、メーカーはシンプルで洗浄しやすい製品を考えてほしいですね。
クリーニングが簡単にでき掃除の頻度も増えることにより、いつもきれいな空気を吸える環境を作ること。購入者にとって本当に必要な機能を開発していただきたいですね
自動おそうじ機能付きのエアコンは、非搭載モデルに比べて内部構造が複雑になるので、専門業者の清掃費は逆に高額になる。
エアコンを買う前に知っておきたい一番意味がない「自動おそうじ機能」はコレ! より
まったく、その通りです! 自分でエアコン掃除に挑戦した者として、「メーカーはシンプルで洗浄しやすい製品を考えてほしいですね」の一言に、涙がこぼれそうになります。
エアコン掃除用に買った電動スプレーの出番が無くなった
エアコンのファンと奥の汚れを、夏と冬のシーズンが終わる時に掃除するために、数年前に電動スプレーを買いました。これでエアコン掃除は随分楽になりました。
が、このプレフィルターを取り付けるようになってから1年経った今、なんと、フィルターを含めて、エアコンが汚れなくなり、掃除といえばプレフィルター=手ぬぐいの洗濯だけになってしまいました。電動スプレーの出番が無くなってしまいました。うれしいような、損をしたような。
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