ハクキンカイロの上手な使い方

健康

便利で、ゴミが出なくて、朝から晩までしっかり温まる、ハクキンカイロ。背中からお腹まで、熱くなってきたらグルグル回すと、体全体が温まり、冷え性も改善できます。しかし、ベンジンの入れ方、途中での消し方、など、問題もあります。

季節はもう冬が終わろうとしています。来冬のために、一つ一つ解決策を考えておきましょう。

ベンジンは体積ではなく、重量秤を使って計る

ベンジン25mlがあれば、(スタンダードでは)24時間使える、と言われています。満タンにしてから、逆さにして、余分のベンジンを絞り出す、というやり方が推奨されていますが、

  • 2回目以降、どれだけ入れれば満タンになるのかが分からない
  • つい、ベンジンを溢れさせてしまう
  • 絞り出す余分のベンジンをどう処分するのか?(結局蒸発させる?)

という、問題があって、使い始めて、いきなり困ったものです。透明な容器なら、どれくらい入っているかが分かる手立てもあるものの、真鍮容器なので、まさしくブラックボックスです。一般的な解決策としては、入れたものは燃やしきってしまい、一旦空にする、というものです。無駄に燃やし切る、というのは抵抗感があります。

台秤を使って、重量で考えると良さそうだ、とは、すぐ思いつくことです。そのために、数字を出してみました。

ベンジン25mlがあれば、24時間使える、と言いますが、24時間ハクキンカイロを使い続けることは、睡眠を考えれば、まずありえない話です。低温やけどの危険性を考えれば、睡眠中のハクキンカイロは、厳禁です。第一歩として、自分の1日の使用量を、こぼすことなく入れることを考えてみましょう。

台秤の使い方

牛乳パックで、本体を立てたままで計れる台を作ります。それを秤に載せます。

0合わせをします。(見えにくいですが、表示は↑17から↓0になりました)

これに、空のカイロ(新品)を載せると、47を示しました。代わりに、使用中のカイロを載せると、それ以上の数字を示すはずです。その差が、残っているベンジンの重量ということになります。

この重量を、ベンジンの比重=0.7で割ると、残っているベンジンの体積が分かります。

本体(タンク)が中綿込みで、47グラム

空になったカイロ(新品)で計ってみたら、蓋と火口を取り外した、本体(タンク)が中綿込みで、47グラムありました。

一度、満杯にしてベンジンを絞り出したタンク(これは使用中のものなので、厳密には誤差がありますが、大量生産なので、ほぼ無視できるでしょう)を計ると、68グラムでした。(入っているベンジンは21グラム)
しかし、通常は、安全のために、入れる量は、この最大値の8分目にとどめたいものです。

これを、以下に表としてみました。

一度、満杯にしてベンジンを絞り出すと、ベンジンは 21グラム=30ml 残っていることが計算できます。

安全を見積もって、その80%を通常使用時の最大量とします。17グラム=24ml となります。25ml で24時間保つということですので、23時間保つことになります。

秤で本体(タンク)込みの重量が64グラムになるまでベンジンを入れれば、2割の余裕を見積もって、安全で、かつ最大23時間使えるということが、上の表から分かります。(ただし、2割の余裕を見積もっても、途中で、中の空気が邪魔してあふれることもあるので、入れる時は、慎重に、ゆっくりと)

安全を見積もって、80%を通常の満タンとする

秤で、本体(タンク)込みの重量が64グラムになるまで、ベンジンを入れても安全で、かつ23時間使えるということです。

これで、普通に1日使ってみて、火を消した後で、本体(タンク)込みの重量(仮にA グラムとします)を計ると、残っているベンジンの重量が分かります。A – 47 グラム、です。

また、1日当たりのベンジン使用量は 64 – A グラムだと計算できます。毎日、使用後に本体(タンク)込みの重量で64グラムまでベンジンを入れておけば、明日も同じように使えて、最後は本体(タンク)込みの重量でAグラムくらいになる、ということです。

仮に、64 – (64 – A ) × 2 が47を上回るとすると、本体(タンク)込みの重量で64グラムまでベンジンを入れておけば、2日間安心して使える、ということになります。

秤を使うと、タンク内の状態が分かり、こぼさないで済む

体積で考えれば見えなかったタンク内の状態が、秤を使うと、確実な数字として、見えてきます。必要なだけ入れて、さらに、どれくらい保つかも分かるので、安心できます。

余分に入れて、絞り出す(捨てる)、というベンジンの無駄もなくすことができます。

注油カップは使いにくい

注油カップというものがあります。実は、これには問題があって、カップにベンジンを入れるまでは良いのですが、定量を入れた後で、回転させるとベンジンが下へ流れる、というわけですが、この際、ベンジンの滲み込み具合が見えないので、中綿への吸い込みがカップからの流れに間に合わないと、ベンジンはあふれてしまいます。

最初の頃に、このあふれを2、3回経験して、がっかりしたものです。結局、カップなしで、中綿への吸い込みを確認しながら、ベンジンを直接注いで行く方が簡単だ、と思いました。
本体タンクの小さな口に、こぼさないように、ベンジンを注ぎ入れるのも、難しいのですが、見えるので、慣れれば、だんだんうまくなっていきます。注意力も養われる、というわけです。

中綿がクッキリ見える、透明なカップがあれば良いのです。今後に期待したいものです。

触媒を傷めない、火の消し方

メーカーの説明では、

ハクキンカイロの使い方 より

残ったベンジンは燃やしきってください、ということでしょうが、これでは、虚しく燃えるベンジンが可哀想だ、と思うのは私だけでしょうか。
(説明が少し分かりにくいですが、座布団の間に置き、というのは、冷たくして立ち消えさせる、ということではなくて、座布団の間に置くと冷たくならないので、立ち消えにならず、残っているベンジンが燃え尽きます、ということだと思われます)

空気を遮断して消すのは、触媒を傷める

真っ先に思いつくのは、ジップロックなどの空気を遮断できる袋に入れて、消す方法です。そのままにしておけば、ベンジンの蒸発も防げるのではないか、と思えるからです。

ところが、これは厳禁です。これは、大切な触媒を傷めてしまうのです。実際にやってみた結果です。何回か、繰り返していると、その度にハクキンカイロは熱くなりにくくなってしまいました。ベンジンが来なくて冷めるのなら、触媒は影響を受けないのですが、熱い状態で不完全燃焼をしてしまうと、触媒を傷める物質ができてしまうようです。

触媒は、燃えて熱くなっているか、ベンジンが来ないで冷めているか、どちらかでなければいけないみたいに思えるのです。ですから、ベンジンがなくなるまで燃やす(温度がだんだん下がり、最後は立ち消え)、というのも、中途半端な状態になりますから、触媒には余りよろしくないのではないかと、思われます。

すると、熱く燃えている状態で、触媒をカイロから外せば良い、ということが推測できます。実際に、そうやってみました。触媒は、その度にリセットされ、より好調になってくるようにさえ思えます。「より好調」、は希望混じりの観察としても、順調に、長持ちする、というのは間違いないように思います。

燃えているままの火口を、外して消す

火傷を防ぐために、皮を使いました。木綿や麻の厚手のものでも代用できると思います。火傷するので、素手で直接つかむことは、厳禁です。特に火口は、慎重に扱う必要があるため、ゆっくり作業できるよう、厚めの皮や、雑巾のような極厚の木綿や麻を使いましょう。(軍手でも熱くなります) 化繊のものは融けてしまうので、使えません。

袋の口を開けて、カイロ本体を少し出し、皮でつかむようにしてフタを外に出して、袋の上から本体をつかみながら、フタを外します。まだ熱いので、別の皮の上に載せます。

次に、火口を皮でつかんで、外します。

外した火口を、皮の上に、そっと置きます。フタより、はるかに熱いので、注意してやります。また、衝撃を与えて、触媒を傷めないようにも、気をつけましょう。

こうして外したものは、本体を処理している内に、手でさわれるくらいに冷めます。

本体は、ベンジンが蒸発しないよう密封袋にしまう

本体は、このまま袋にしまい、ジップロックなどの袋に入れて、ベンジンの蒸発を防ぎます。それをさらに、別の密封袋に入れ、二重にしておくと、完璧です。

十分に冷めたフタは、どこにでも、分かりやすい所に置いておきます。

火口はホコリなどがかからないように、慎重に保管

火口は、ホコリなどがかからないよう、箱(購入時に入っていた箱など)に、そっと入れて、慎重に保管します。ホコリ・汚れは避け、触媒の白金や、グラスウールなどにできるだけ衝撃を与えないようにするのが、ポイントです。

翌日、使い始めにバタバタするのを避けたい場合は、この時に、翌日分のベンジンを入れてしまっても、まったく問題ありません。

こうすれば、ベンジンの無駄なく、確実に、簡単に、火を消すことができます。

白金触媒はよみがえらない、洗うな

燃え方が悪くなってきた触媒を、再生したい、とは誰もが考えます。私も、一生懸命調べて、こうすれば再生できる、という方法を、自分の思いつきを含めて、いろいろ試してみました。

でも、はっきり言います。再生できません。特に、洗う、というのは最悪でした。

白金触媒は、グラスウールに化学反応とかで、ガッチリ付着しているのではないのでしょう。白金はベンジンや空気と接触するのですから、グラスウールに埋め込まれているのでもないでしょう。グラスウールといえば、つるつるしていて、何かをくっつけるものではありません。白金も、金と争う程に、安定した金属なので、何かにくっつきやすいものでもありません。多分、絶妙の技術で、グラスウールに白金の粉がそっと置いてあるだけなのだと思います。(もしかしたら、グラスウールを半融解して、白金粉を載せ、グラスウールに端をつかませる、とか) それを洗ってしまうと、白金が流れ落ちてしまうだけなのでしょう。

最初の頃、(先ほど書きました、袋に入れて空気を遮断して消す方法を採っていたので、だめになった触媒に事欠きませんでした)再生方法をいろいろ試しましたが、どれも効果はありませんでした。とりわけ洗って全くだめになった触媒に、複数回、ガックリしたものです。

熱くならなくなってきたら、火口を買い換えれば、よみがえります。高い買い物とは、思えません。

火口は、とにかく中途半端を避けて、ガンガン燃えているか、それとも、ベンジンもホコリもない所で静かにしているか、にします。これが火口長持ちの原則です。ですから、ハクキンカイロ自体も、落としたり、手荒いことをしないよう、慎重に扱いましょう。

ハクキンカイロで内臓を活性化

カイロといえば、主に外での寒さ対策ですが、それだけでなく、健康増進、という目的でも使えるのがハクキンカイロです。「寒くないから使わない」ではなく、健康増進のために、もっと積極的に使えないでしょうか? 冷えは万病の元と言います。

冷え性対策といえば、お風呂、運動、マッサージ、食事、使い捨てカイロ、など、いろいろありますが、ハクキンカイロは、見逃せません。

カイロベルトというものがあります。これにハクキンカイロを入れて、ウエストの、腹から背中あたりに着けて、熱くなってきたら、その横に、という具合で、グルグル回すのです。この作業は外では、なかなかできないことですが、自宅では平気でできます。

立石春洋堂

もちろん、直接肌に着けるのではなく、肌着などの上から着けます。それでも、ハクキンカイロは強力なので、着ける階層や、肌側に厚手の布などを入れるなどして、最初から熱くはならないよう調整します。(袋の中に、調整用の布を数枚入れておくと、熱くなればもう1枚内側へ、ぬるく感じれば1枚を外側へ移動して調整できます) 使い捨てカイロと違って、肌だけでなく、ハクキンカイロからの燃焼ガスも背中やお腹を温めてくれます。

背骨、腎臓、脾臓、肝臓、腸、といった体の抵抗力や、調整力に関わる内臓が、冷えた低調状態から目覚めて、体全体が活性化してきて、血行が良くなり、抵抗力も高まります。お風呂の一時的な温まりとは、全然違います。内臓から温まるので、暖房代も節約できます。帰宅後だけでなく、お休みの日、在宅勤務などの時には、ぜひ、おすすめします。心臓辺りに当てると、金は無くとも、懐があたたかくなります。

暖かくなって、さすがにハクキンカイロを使うのは、もう、暑くてつらい、ということになるまでは、ハクキンカイロで体を温めまくるというのはどうでしょうか。梅雨冷え、とかもあります。梅雨冷えで即暖房ではなく、ハクキンカイロで健康のチャンス、とも考えられますね。梅雨明けまで、薄着になっても、ハクキンカイロはすぐ使えるようにしておきたいものです。

実は、ハクキンカイロは、最初から医療用という意識があった、ということなのです。

販路開拓に苦戦しながら2年ほどたったころ、百貨店の薬品コーナーでの販売が実現する。もともと同商品はリウマチや神経痛の緩和を念頭に置き、医療用器具としてつくったものだったのだ。それを機に、全国の一般薬局や百貨店へ販路が拡大し、売れ行きも伸びていった。

こうしてヒット商品は生まれた! ハクキンカイロ」

納得できます。取扱説明書にも、「心身の健康への奉仕」が会社の基本理念である、と書いてあります。ハクキンカイロは、実は健康器具だったんですね。健康にもっと活かしたいものです。

ただ、ハクキンカイロをお腹側に着けると(薄着になるほど、また風が無いほど、触媒が弱るほど)、排気で臭いので、お腹側に限っては、充電式電気カイロなどに限られるかもしれません。

臭いを防ぐ-よだれかけ

しかし、ハクキンカイロの臭いは、普通に換気してある場所では、排気が鼻に直接当たると臭うだけです。ですから、背中にハクキンカイロを着けた状態では臭いません。お腹側に着けていても、排気が鼻とは違う方向へ逃げてくれると、臭いません。風が強い時には、そうなりますが、よだれかけのようなものを掛けていても、臭いません。子供のよだれかけがつらい、という人には、スカーフやバンダナを、前に垂らすように結ぶと良いでしょう。

ハクキンカイロの上になる衣服の、さらにその上にかかるようにして、結ぶと、排気は鼻に来ないで、左右に逃げます。これで、安心して、ハクキンカイロをお腹側にも回せるようになります。

バンダナで排気よけ

健康のためにハクキンカイロ!

電熱式ライターで点火

触媒に点火するにあたっても、問題があります。マッチやライターで点火する際には、炎が触媒に当たらないようにしたほうが良いみたいです。マッチの頭はもちろん、軸にもいろいろな薬剤が含まれています。その薬剤やススがハクキンカイロの触媒に当たると、触媒の寿命が縮む、と言われています。マッチは上から、というわけです。

ハクキンカイロの使い方 より

ライターも同様ですが、上から、というわけには行かないので、横から、炎が触媒になるべく少ししか当たらないように、となります。燃焼時に触媒部分の温度は130~350℃と言われています(触媒がこの温度になれば反応が継続する)ので、800〜1000℃と言われるガスの炎は温度が高すぎて、高温部分を触媒に当てると、触媒を傷めることになります。さらに、炎には酸化反応をしている部分と、還元反応をしている部分とがあり、酸化にしても還元にしても、触媒に良くない影響を及ぼします。ですから、ライターは、横から、炎が当たらないギリギリの所で、130~350℃の温度だけを触媒に与えるようにする、という技が一番望ましいのです。

ならば、いっそ、温度だけで触媒に点火する方法はないのか? ということになります。昔は、電池を使った電熱点火式のカイロもあったそうです。(ハクキンカイロ非公式ファンサイト より

ハクキンカイロ非公式ファンサイト から 
ナショナルカイロ(黄金カイロ)編 より 勝手に使わせてもらっています ごめんなさい

この電熱点火式が、マッチ・ライター点火に比べて、長持ちしたかどうか、その辺の評価は見当たりませんが、長持ちしたと信じたいですね。

充電式電熱ライターを使う

可燃性のベンジンを使うので、安全のためにも電熱点火式は、追求したいものです。で、最近は、USB充電式 電熱式電子ライターというものが出回っています。我慢ならずに、買ってしまいました。

スイッチを押すと、電熱線が高温になります。この高温部を触媒に近づけて、点火しよう、というわけです。

無事点火できています。しかし、すぐには、こうはなりませんでした。ライターの電熱部が大き過ぎて、触媒から離れてしまい、触媒の温度が点火するまでには上がらないのです。

触媒を2段重ね

そこで、古い方の触媒を上に重ねて、高くしてみました。

触媒は、ピンセット等で下から押すと、簡単に外れます。火口には爪で引っかかっているだけです。外した触媒を、そおっと、新しい触媒の上に乗せました。大分かさばっていますが、使っていると、だんだん沈んで、元の高さ(2枚で合計=元の高さの2倍)になります。

沈んでしまっても、ライターの熱が伝わって、点火できています。点化しにくいなら、上の触媒を片側に寄せて、高さを稼ぐと良さそうです。熱は上の方に伝わりやすいので、カイロはひっくり返したほうが、点火しやすいです。電熱ですから、ひっくり返しても問題ないと思います。(万一、ひっくり返してベンジンが落ちて来るようであれば、入れ過ぎです、点火方式に関わらず、良くないので、ベンジンの量は適正に)

燃焼中に、暗い所で火口を見ると、赤くは見えません。1枚目だけが燃焼に関わっていて、2枚目は、点火の時以外は、遊んでいるのでしょう。ですから、新しい触媒を下にするのは、正解でした。

2枚目は、燃焼には、補助的に関わっているだけですが、より完全な燃焼に貢献しているとも思われます。臭いが少なく、より高温になっているように思います。(新しい方は、今まで使っていなかったので、本当は、新しいから臭いが少なく、より高温なのかもしれません)

2枚重ねは、メーカーの想定外のことだと思いますので、触媒の寿命に良いのか、悪いのか、分かりません。これで長く使ってみて、結果を報告できると思います。

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