畳水練で背筋強化

健康

「畳水練」(たたみすいれん、畳の上で水泳の練習をすること)といえば、まず

理屈ばかりで実地の訓練が欠けているため、実際には役に立たないこと(デジタル大辞泉)

実地に役に立たない練習(新明解)

方法や理屈は知っているが、実地の練習をしないため、実際の役に立たないこと(スーパー大辞林)

といった具合に、ネガティブな意味となっています。しかし、それは机上の空論にすぎず、実は、畳水練が健康に大変役立つのです。

泳げる人でも畳水練はむつかしい

畳でも、(ヨガ)マットでも、布団でも良いのですが、実際に腹ばいになってクロール、バタフライ、平泳ぎ、背泳ぎ(これは仰向けですが)をやってみてください。やさしい「練習」ではありません。

水中だと浮力が働いて、動きが楽になりますが、畳の上だと、浮力はなし、腕や足を動かすためには、まずうつ伏せのまま頭、足そして腕を持ち上げる必要があります。しかも、手をつければまだしも、なんせ泳ぎですから手で掻きますので、手をつくことはできません。

次の図のようにやるのも、簡単ではありません。でも、泳ぎのためには、これから、クロールだと、手を上を通って前に出す必要があるのです。その次は、手で掻くようにして後ろに持っていきます。それを左右交互に、同時にやるのです。足もバタバタさせる必要があります。簡単なことではありません。

そもそも、まず最初に、息ができるように頭を持ち上げることが大変なのです。泳ぎの動きで背中の筋肉を使って息を切らしながら、しかも、頭を上げて、うつ伏せ状態から、口を上に持ち上げないと息もできないのですから。畳水練は、役に立たないと切り捨てるには、難しすぎるのです。

畳飛練たたみひれん(飛ぶ鳥のまね)から始めてみた

まずは、平泳ぎをやってみてください。畳水練という時、まず平泳ぎが念頭にあると思います。頭を上げると自然に脚を引き上げることになります。これでさらに、腕を前から後ろへ回すようにし、浮いている脚でカエル蹴りをするのです。背面の筋肉を総動員です。

平泳ぎが難しいと思ったら、腕を左右に広げて肩甲骨とともに上下させる、という動きが分かりやすく、一番簡単で(といっても楽にできるという意味ではありません)、効果もありそうです。鳥が翼を動かして飛ぶような動きです。

鶏の胸肉を見ると分かるのですが、鳥は羽を下に下ろす時に力を入れます。しかし、畳飛練では飛ぶわけではないので、腕を引き上げる時に力を必要とします。とりわけ、背中、肩甲骨の筋肉が使われます。(胸肉強化のために)畳を押さえ込む動きを入れると、うまくリズムがとれないので、腕を引き上げ、下ろし、また引き上げ、という動きになろうかと思います。

トレーニングベンチを使えば、やりやすい

畳水練は役に立つとしても、やりにくい、難しすぎる、と考えられた方は、トレーニングベンチをおすすめします。

トレーニングベンチがありますと、

とか

という風に、ベンチ上のやりやすい位置に自分の体を置いて、泳ぐ動きをできます。頭をベンチの先に出し、上半身を胸で支えるようにすると、息がしやすくなります。体の下に空間があるので、平泳ぎだけでなく、クロールやバタフライ、背泳ぎの動きも簡単にできます。

ベンチの場合、手も足も同時に動かすと、とても不安定になって転落の危険があるので、手だけ、足だけ、と別々にやると安心です。

こうして背中の筋肉を鍛えておくと、いつか新素材で実際に空を飛べる時が来るかもしれませんね。

大変良くできているので、そのまま使わせていただきました

猫背に効果的

これほど背中、お尻、脚の後ろの筋肉を使う運動は、ウエイト・トレーニングや筋トレでも、なかなかありません。私の体験で言いますが、巻き肩だと、掻き終わった手を上から前に持っていくのも難しいです。猫背だと、背中の肩甲骨あたりの筋肉が無いに近いことを痛感させられます。

泳ぎに必要な筋肉が、鍛えられているのが分かります。(私は長い間泳いでいませんが、一応泳げるのです)

無理してしまうと、腰や背中を痛めてしまいそうな気もします。無理しないで少しづつ続けていきますと、背中の筋肉が少しづつ付いて来るのが分かります。猫背でつい曲がってしまう背中も、伸ばしやすくなり、だんだん猫背は改善してきます。背中の血行が良くなってきます。

背泳ぎ、仰向け平泳ぎで肩を柔軟に

ベンチの上で仰向けになって、背泳ぎや平泳ぎの動きをする=何のことはない仰向けになって腕をグルグル回す、というだけのことなのですが、これが固くなった肩を柔軟にするのに、大変良く効きます。

背泳ぎ

四十肩、五十肩、と言われるほどひどくはなくても、事務にしても、道具を使う作業にしても、日常の作業は、ほとんど腕を前に出してやるものばかりです。これに猫背、巻き肩が加わると、肩の動きは悪くなる一方です。たまには、肩を回して、柔軟にしてやりましょう。

腕回しといえば、ラジオ体操のように、立ったままでやるのが普通ですが、上図のように、仰向けになって腕を回すと、立ったままでやるより、はるかに効きます。むしろ、無理しないで、ほどほどにしておくように気を付ける必要があるくらいです。特に筋肉を強化する実感はありませんが、肩が動きやすくなります。毎日続けていると、〇〇肩の予防になるのは間違いないと思われます。実際の背泳ぎにも、必ず役に立つものと思われます。

これからは、「一見無意味に思えるが、実際は、大変役立つこと」を畳水練と呼びたいものですね。

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