(屋根付き)ベランダ菜園を楽しんでいるのだが、どうもパットしない、うまく育たない、いつも過湿で枯らしてしまう、と悩んでいる方、ぜひ、これを読んでください。
培養土はそのままでは使えない
培養土といえば、ホームセンターやネットショップで売っていて、簡単に購入できます。「そのまま使える」とか書いてありますね。でも、その培養土をそのまま使ってきた10年、それは苦労続きのベランダ菜園でした。
野菜や花に、適したpHがあることはご存知でしょう。
しかし、「野菜用、花用として売っている培養土なんだから、pHのことは心配する必要はない」「元肥入りなんだから、植えたり、蒔いたりした後は、水やりと追肥の心配だけすればいいんだろう?」と考えるのが普通というものです。
10年間の、屋根付きベランダ菜園での苦闘を経て、それまでの土を一切処分してから、昨秋pH計(土壌酸度計)を手に入れて、新規購入した2種類の培養土を計ってみて、その結果が驚きでした。
ある培養土のpHは7から8.5、別のは4.0から3.0以下が表示された
1種類の培養土に、pH計をブスブス差してみると、pH7から8.5が表示されました。
もう1種類の培養土で、同様にすると、pHはLo(3.0以下)から4を表示します。
どちらも信じられない数字だ。pH計が頼りにならない、と思って、苗を植え、種をまきました。ところが、結果は散々でした。
pH計がダメなのではなく、培養土がダメだった
これは、pH計がダメなのではなく、培養土がダメなのかもしれない、と思い直して、アルカリ性の培養土には強酸性培養土を加え、強酸性培養土には苦土石灰を加えて、いずれも、pHが6前後になるように調整して、植え直し、蒔き直しました。その結果はバッチリでした。花も野菜もスクスク育っています。
弱アルカリ性の土では、たいていの野菜や花は、うまく育たない
振り返れば、10年間の苦労続きのベランダ菜園、その原因は、pH7から8.5の培養土でした。最近買ったアルカリ寄りの培養土が、最近の数年間使っていたのと同じものだったのです。しかも、「苦土石灰を入れましょうね」と書いてある本の通り、季節が変わって、作物を変える度に、律儀に苦土石灰を入れ続けてきたのです。
弱アルカリ性の土で、フラフラ状態でも、なんとか、(悪いとはいえ)育っていた作物は、ますますアルカリ化する土のため、最後には、枯れてしまうようになったのです。
雨に当たらない屋根付きベランダの特殊性、(1)土は酸性化しない
雨が当たる家庭菜園やルーフバルコニーでは、土は自然に酸性化してしまうようですが、水といえばpH7.0から8.0の水道水だけの、屋根付きベランダでは、アルカリ性の土はアルカリ性のままのようです。これに、更に律儀に苦土石灰を加えていたのですから、植物に適した弱酸性にはなりようがないのです。
地域によっては、さらにアルカリ寄りの水道水もあるでしょう。(東京では7.5という話があります) そういう所では、水をやる度に、土はさらに、弱酸性から遠ざかってしまうのです。屋根付きベランダ菜園は、非常に特殊な状態に置かれている、といえます。
一般的な園芸本や、園芸サイトでは、土作りについて色々書かれていても、pHのことは参考程度にしか触れてありません。「プランターで栽培するときは市販の培養土を用いましょう」「プランターに市販の培養土を入れ(某所の-ベランダでできるキッチンガーデン-から)」、と培養土だったら大丈夫、という雰囲気です。でも、屋根付きベランダ菜園では、市販の培養土はそのままでは使えないし、pHのことは、最重要(植物にとって死活的!)なのです。
屋根付きベランダ、と言っていますが、まあ上の画像のような所のことです。上階の床がベランダの庇になっているものです。風の具合で、雨が降りかかることはあるものの、世間がザーザー降りの雨でも、床が少し濡れる程度でしかありません。
pH試験紙での検査は、実用性なし
試験紙や、試験液を使ったpH検査はやっていました。しかし、はっきり言ってこれは頼りになりません。1箇所計るだけで大変な手間です。しかも、現実に表れる色は、色のリストにはないものです。
1から14までの1刻みのリトマス試験紙なら、色違いがはっきりしていますが、問題の5から8辺りまでを0.5刻みで計れるという試験紙の色見本では、微妙な色違いが印刷されています。しかも、大問題は、試験紙は濡らして使う、ということです。見本の色は濡れていませんし、つやがあります。乾いたつやありの色と、濡れた試験紙を見比べても、同じ色などどこにもありません。この、実際の試験紙の色を、色見本のどこに置くのか、最後は、本人の気分次第です。
「まあ、これかな」でpHを決めても、実際の役に立ちません。
ましてや、同じ土とはいえ、必ず不均一なものです。いくら、よく混ぜて、サンプルを取っても、それがその土の平均的pHだ、とは言い切れません。さらに厳しいことに、酸度調整後に、その時の結果を計りたいと思えば、またその作業を繰り返して、上澄み液を作る必要があります。酸度調整後に、すぐ計るのは、良くないのは分かっていますが(数日間落ち着くのを待つ必要がある)、さらに酸度調整を続ける必要があるかを見込むためにも、その時の状態を、仮に知る必要があります。
ここまでの苦労を重ねても、結果は本人の気分次第では、涙です。
手軽にpHを計れるデジタル式pH計(土壌酸度計)は意外と正確
しかし、デジタル式のpH計だと、ブスっと土に差せばすぐ数字に表れます。「そんなにうまくいくものかよ!?」と、長年思っていたのが、実は私でした。でも、10年の苦労は土壌のpHのせいかもしれない、という気持ちがいよいよ強くなってきて、ついにデジタル式のpH計を買うことにしました。迷いに迷って、シンワ測定の「デジタル土壌酸度計 A-2」を買いました。これが大正解でした。
確かに、プロの使う高価なpH計のように、たとえば0.1単位まで、正確には出ないでしょう。表示も0.5単位です。精度は±0.5と説明書にはあります。(6.0の表示が出ても、正しくは5.5かも知れないし、6.5かも知れない、ということです) 校正のための標準液さえ、無いし、必要ありません。
でも、それでいいのです。十分です。大体どの程度のpHなのか、が分かればいいのです。そのままスイッチを入れると7.0を示します。それを精製水(コンタクトレンズ用)に差すと、7.0を示します。水道水でも7.0を示しますが、たまに7.5を示す時もあります。水道水自体が、時期によって7.0から少しアルカリ寄りになったりするのでしょう。これは、バッチリ校正済み、ということだと私は理解します。
ただし、取扱説明書には、「本製品は土壌専用です。故障の原因となりますので水や他の液体に挿さないでください。」と書いてあります。水のpHは、真似して、計らないでくださいね。
とは言いながら、うがい水、水槽や、洗濯機などなど、水のpHを計り続けています。水に落とさないようにだけは気を付け、また使ったらすぐ乾いた布で拭くようにしています。故障はしていません。0.5単位ですが、大まかな目安として大変役立ちます。真似しないでくださいね。
この一点だけでも、信頼できそうです。中性をしっかり表示してくれれば、アルカリ性や酸性で、0.5程度の誤差が出たところで、実際に植物がうまく育ってくれるかどうか、という栽培経験で、最終的には調整していけば、十分だからです。
一つの鉢で、あちこち差しまくると、いろいろな数字が出ます。当たり前です。実際の土は不均一なものです。ここで、仮に数値に±0.5の誤差があるかどうかは、たいしたことではありません。よく混ぜて調整した土を、プランターに入れて、あちこちブスブス差してみて、大体の平均でpH6あたりになっていれば、OKです。たとえば、その場合、数値は5.0だったり、7.0が出たりします。中性よりは、やや酸性寄り、というわけです。それで植物はバッチリ育っています。
ただし、土が乾いていると、アルカリ寄りの数値が出ます。実は、前述の酸性の培養土は、袋を開けてすぐ、そのままpH計をブスっと差したら、6.5だったのです。それで安心して、「アルカリ性の土で苦労してきたが、今度は大丈夫だ」ということで、すぐプランターに入れて、植えたのです。で、苗はだんだん調子をくずして、弱ってきたのです。種は双葉が出たきりで、しおれてしまったのです。その培養土は、袋の中では、かなり乾いていて、特に、上の方はサラサラでした。ですから、プランターでの実態(pH4以下の強酸性)とは違う、弱酸性の表示が出たみたいです。
pH計の先に何も当てないで、スイッチを入れると、7.0を表示します。完全に乾いている土だと、実態とは無関係に、7.0になります。pHを正しく計測するには、土を十分に湿らせてから(たっぷり水やりした状態)、土に差し込む必要があります。
試験紙や試験液で1日かかることが、2、3分でできる
土を調整中に、あるいは植木鉢やプランターに入れた後で、あるいは生育中に、土にpH計をブスブス差すと、その土のpH分布状況、傾向が分かります。
これを、(仮に20箇所だとして)pH試験紙や試験液でやると、おそらく早くて1日がかりでしょう。pH計だと、ブスブス、と、ゆっくり、ていねいにやっても、2、3分のことです。
pH計があれば、本気の土のpH調整が、ごく簡単なことになるのです。
植えた時のpHが、その後の生育で、どう変化して行くのかをつかんで、生育状況と突合わせると、今後のベランダ菜園にとって、大変役立つ情報が得られるに違いありません。pH試験紙や試験液だと、この生育状況との突き合わせが、まず不可能です。
pH計は、楽天の最安値で、↓です。(これには送料別、となっていますが、ショップのページでは送料無料となっていました)
決して安いものではありませんが、うまく育たなくて落胆、今までかかった苗代・種代、あげくに「ええい、もうベランダ菜園など、やめだ!」となるとかかる土の処分費、などを考えると、決して高いものではない、と考えるのは私だけでしょうか。
電池は意外と長持ちします。しかも、エネループが使えます。便利ですね。
根が水を吸えない-pH不適合で起きる症状
この10年間、pH不適合の土で植物が、どのようだったか、少し書いておきます。このような症状に苦しんでいたら、pH計を導入してみてください。
- 買ってきた苗を植えても、生育が悪い。終了後にプランターをひっくり返してみると、根の伸びが悪い。
- 苗が全く成長しないので、抜いてみたら、植えた当時の根は茶色くなっていて、新しい白い根が出ていない。
- 陽が当たるとしおれる、その度に、やり過ぎと思いつつも水をかける。最後には枯れてしまう。抜いてみると、根が少ししかない。
- 少し強い風が吹くと、株元がグラグラする。支柱で固定することが多い。
- 枯れはしないものの、葉先が茶色くなって、成長が悪い。最後は枯れてしまう。
- アブラムシがつきやすい。
- うどんこ病にかかりやすい
- 小さい内はなんとか成長していても、だんだん生育が悪くなり、花が咲く頃には、様子が悪くなり、実がほとんど取れない。
- 同じ種類の花を、別な場所で、陽がほとんど当たらない場所で育てているのに、それは花を沢山付けていて、条件がはるかに良いはずの、このベランダ菜園の方が花数が少なく、ついには枯れてしまう。抜いてみると、根が少ししかない。
- 花苗を買ってきて植えたら、しばらくは花を咲かせているが、いよいよこれから、という頃になると、枯れてしまう。抜いてみると、根が、最初に付いていた土から伸びていない。
- 葉の色が薄い。肥料が足りないのかと思って、追肥するのだが、濃くならない。抜いてみると、根が少ししかない。
- 花でも、葉物野菜でも、小さい内から、しきりにちっちゃな花をつけようとする。大きくなれないで、最後は枯れてしまう。抜いてみると、根が少ししかない。枯れる前に、少しでも種を残そう、という健気な生態なのかも知れません。
- 発芽した双葉が、転げて倒れる。穴あけして、埋めるのだが、うまく育たないで、その内、枯れる。抜いてみたら、根がほとんどない。(これは、かなり末期的な状態です)
全体的に言えるのは、肥料分の吸収が阻害されると言う前に、そもそも、根を伸ばせない、根が水をうまく吸えていない、ということだと思います。「水やり3年」とか言う話もありますが、3年どころか、私は、水やりに10年間泣いてきました。結局、それは土のpHの問題だったのです。
アルカリ性の土で泣いてきて10年。昨年、土を全て処分し、新しく培養土を複数購入しました。ところが、そのうち1つは弱アルカリ性、もう1つは強酸性でした。どちらも、結局、同じような症状が、また現れました。
根がどんどん成長していれば、水を少々やりすぎたところで、暖かい季節であれば、翌日までには、ちょうど良いくらいになっているか、むしろ、また、やりすぎな程に水やりしなければならないはずです。寒い季節であれば、植物の反応も遅いので、重力により、水が鉢からすっかり出切ってしまうまでには、根が過湿で傷む間もありません。
元気なく、しおれがちなものだから、つい、頻繁に水をかけてしまうのです。実際、水を多めにやらないと、すぐにしおれてしまうのです。過湿は結果であって、原因はpH不適合なのです。
水浴法で挿し木の記事 ↓ にもありますように、根は水の中でどんどん伸びるのです。過湿だけが原因で根が伸びない、ということはありえないのではないでしょうか。
培養土のpHを調整してから、プランターや植木鉢を用意する
「培養土がダメだった」と、書きましたが、でも、メーカーの悪意や落ち度があるとは、言い切れないのです。
私が長年使ってきた培養土には「カルシウム入り」との表示があります。このカルシウムは、カキ殻とかではなく、消石灰などだと思われます。ですから、どうしても、ややアルカリに傾くのです。でも、この培養土を家庭菜園や、庭やルーフバルコニーなど、雨に当たる所に置くと(大抵の方はこれでしょう)、酸性雨で、すぐに中和されて、いい具合のpHになるに違いありません。
また、強酸性の培養土にしても、レビューをよく読むと、うまく育っている、という方ばかりです。あるサイトでは、おすすめ培養土のNo.1でした。多分、バラツキがあるのでしょう。私が購入したものが、たまたま強酸性の部分が集まっていたのでしょう。
つまり、培養土にはバラツキがあるし、雨に当たる場所用に調整されているかも知れない培養土を、屋根付きベランダ菜園に使うには、自分でpHを測定し、調整してからにする必要がある、ということです。
特に、pHを計りもしないで、本に書いてある通り、「とにかく苦土石灰を〇〇グラム」は、絶対にやめましょう。
購入した培養土は
ちなみに、培養土を調整するに際して、酸性の培養土がほしい、アルカリ性の培養土がほしい、ということがあるかも知れません。私が購入した2種類の培養土を、ここに紹介しておきます。
↓強酸性だった土です。アイリスオーヤマ 花・野菜の培養土
「このまま使える」には、今では笑ってしまいます。pHはLo(3.0以下)から4、この強酸性は、大変しぶといです。アルカリ資材で、その時はそこそこのpH(中性から弱酸性)に持って行けて安心して植えたら、その後、また強酸性のものが出てくるようで、pHはまた、強酸性に下がってしまいます。
今は、消石灰で、中性を超えてアルカリ化(HH=pH9.5以上)させ、土中の強酸性物質とゆっくり反応=中和させ、しばらくpHの動向を見てから、さらに下がるようなら消石灰を追加し、HHで安定させるようにしています。pH計がHHを示している土でも、数日するとpHは5や6に戻ってしまったりするのです。
アンモニアなどの害が問題というより、強酸性への戻りが問題なのです。
試しに、HHの土に植えたり、種をまいたりすると、(中性にしたつもりで強酸性に戻ってしまった時より)植物が、はるかにうまく成長してくれるようです。強アルカリ性をはね返す、しぶとい強酸性の土の特性からくるものかな、と思っています。
夏野菜は、HHで始めて経過を見ます。秋になれば土が落ち着いて、また違うことになるだろうと思っています。
とにかく、この「このまま使える培養土」は、使いこなすのに苦労する、とんでもない癖があります。
↓弱アルカリ性の土です。大宮グリーンサービス 花と野菜のプランター培養土
土のアルカリ化に泣いた10年を考えると、このような弱アルカリ性の培養土が一般的なように思います。たいていの培養土は、そのまま使っていても問題ないと思います。弱アルカリ性だとしても、野菜類は弱アルカリ性には強いようで、けっこう育ちます。
使い始めには、うまく育っていても、本やサイトに書いてあるように、何かあれば苦土石灰、などとやっていると、だんだん植物が育たない土になってしまいます。
ですが、pH計があれば、弱アルカリ性の培養土に、苦土石灰などをむやみに入れることもなくなります。
強酸性培養土 酸度調整の大騒ぎ
買った培養土のpHが満足できるものでなかった場合、酸性から弱酸性へ変化させるには、消石灰、苦土石灰、有機石灰(カキ殻、卵の殻など)、など、大抵の本や、サイトでは詳しく紹介されています。ここで今さら言及するまでもないことです。通常のプランターには、アルカリ資材の何々をこれこれの量で、という具合です。
でも、せっかくpH計があるのですから、少なめから初めて、混ぜてすぐ計り、数日置いて計り、1週間後に計り、ちょうどいい具合に持って行くようにしています。
強酸性培養土には、苦土石灰は形なし、消石灰が必須
しかし、上に紹介した「アイリスオーヤマ 花・野菜の培養土」は、なかなかにしぶとくて、苦土石灰を大量に入れてその時はpH6.0あたりでも、1週間置くと、またLoや、4などと、酸性側に戻っていました。苦土石灰を入れすぎて、またアルカリ化させては困る、と思い、どうしても苦土石灰を控えてしまいます。
その後、苦土石灰でそこそこ(pH6.0あたり)にして、次に、中性の有機石灰(カキ殻)をかなり多めに入れることにしました。日にちが経過しても、pH6.5辺りで収まってくれるだろう、と思いました。
また、ベランダ菜園は、中性から弱アルカリ性の水道水で水やりをするため、土は自然にアルカリ側に傾いていくはずです。pHの値が、希望する数字よりも低い(酸性が強い)としても、もし植物が順調に育っているのであれば、水やりの度に中性に近づいていくはずです。
ところが、事態はもっと深刻でした。その時は、pH6.5くらいで、これで良かろう、と植えていても、その後、だんだん酸性がひどくなってくるのです。日が経ち、気がついたら、pHは4や5、Lo(3以下)もあり。植物は、元気がなくなり、pH不適合の症状が出てきます。弱アルカリ性の水道水も、カキ殻も、形なしでした。
消石灰で一旦アルカリ性に持って行く
失敗から分かったのですが、(この強酸性培養土の場合)アルカリ性になるのを恐れないで、苦土石灰より強い消石灰を入れ、中性を越えさせる必要があったのです。しばらく放置して変化を待ち、強酸性に戻ってしまう(のです!)ようだと、さらに消石灰を追加するようにしました。
雨に当たらない屋根付きベランダ菜園では、ついついアルカリ化を恐れてしまって、中途半端だったのが悪かったようです。
しかし、事態はさらに深刻で、消石灰で一旦はpH HHに持っていった土も、1月もすると、また強酸性に戻ってしまったのです。このため、春の野菜はほぼ全滅でした。さらに消石灰を加えて、夏の野菜に挑戦。しましたが、これも今一つ思わしくありません。土のpHは5.0あたりに戻っていました。今、秋の野菜に向けて、さらに、少しの消石灰と、かなり多めのカキ殻を加えて、土を調整しました。
カキ殻でやっと使える培養土になってきた
この、カキ殻が効きました。直前に、「土のpHは5.0あたりに戻っていました。今、秋の野菜に向けて、さらに、少しの消石灰と、かなり多めのカキ殻を加えて、土を調整しました。」と書きましたが、pH5.0あたりになると、カキ殻を多めに入れてそのまま秋野菜の種まき、植付けに使って問題ありませんでした。消石灰を入れると、またしばらく放置する必要がありますが、カキ殻だけだと、すぐ使えました。
消石灰だと、多めに入れるとアルカリ性に行き過ぎる心配がありますが、カキ殻だと酸性を中性に戻す作用はあっても、アルカリ性に押し込む作用はありません。しかも、重量があるので粘りがききます。この際と思って、かなり多めに入れたのが効いて、秋野菜は順調です。今年(2024年)の猛暑で9月は成長も悪かったのですが、10月に入ると、野菜も花も、驚くほどに順調に成長しています。
「すぐ使える培養土」の魔力からやっと解放されました。消石灰とカキ殻で、やっと、ついに、使える培養土に変化したのです。
それにしても、この「すぐ使える培養土」、本当に手が焼けました。駄目だからと捨てるわけにもいきません。(土の処分は大変なのです) このような騒ぎは、多分、少しだけ酸性の培養土では、ありえないことだと思います。また、一般的な弱アルカリ性の培養土の場合には、全く無縁なことです。が、貴重な経験ですので、書いておきました。
培養土は、必要な量に比べて、少しづつ、pHを計り、結果を見ながら買い足して行くようおすすめします。ついに、本音で書きます。「アイリスオーヤマ 花・野菜の培養土」だけは絶対買わないでください。
こうして臨機応変に対応(? 苦労?)できるのも、pH計があればこそです。す。今後の経験を踏まえて、書き加えていきたいと思います。
雨に当たらない屋根付きベランダの特殊性、(2)肥料は流れない
雨が当たる家庭菜園やルーフバルコニーには、線状降水帯や台風、そこまで行かなくても、川を増水させるような大雨が降っても、屋根付きベランダでは、大雨とは無縁です。水やりで水が流れるとしても、そのような大雨に比べると、微量です。(水を運ぶのが大変だし、下の階のことも考えるので、つい節水になります)
ハウツー本や、サイトでは、「肥料」が大事と言われますが、それは、雨が当たる所のことで、そのような大雨で、肥料が(やったはしからドンドン)流れ出てしまうからです。植物が全部吸い取ってしまうからではありません。ここを(私のように)勘違いして、説明通りに肥料をやっていると、肥料のやり過ぎになって根が弱まり、不調の原因になります。
ベランダ菜園は、肥料が流れ出ることの少ない、環境にやさしい菜園なのです。
土壌塩分濃度表示で適切な肥料やり
ここで紹介しています「デジタル土壌酸度計 A-2」には、「土壌塩分濃度」の表示もあります。これが大変役立つのです。
この「塩分」とは、塩害に結びつく(主に海水からの)食塩(NaCl)のことではなく、肥料分を含む様々な塩類のことです。(メーカーに直接問い合わせた結果です) 「土壌塩分濃度」とは、むしろ、土壌の塩類濃度の指標として使われる電気伝導率=ECのようなものではないか、と思います。
狭いベランダ菜園では、農家と違って、肥料のコストはほぼ問題となりません。「はえば立て、立てば歩めの親心」で、つい肥料をやり過ぎてしまう傾向があります。たいていの本やサイトでは、肥料のことは熱心に書いてありますからね。
肥料が多過ぎる土では、DANGERと表示
ところが、肥料をやり過ぎていると、この「デジタル土壌酸度計 A-2」を差し込むだけで、「DANGER」と表示されるのです。ガビーン!です。
pH不適合の場合、葉の色が薄くなります。成長が良くありません。そこで、つい肥料をやりたくなるのです。その結果、pH不適合に加えて、肥料過多となり、事態は最悪となります。ベランダ菜園で、植物がうまく育たないというケースは、たいてい、こういうことだと思います。
「DANGER」となったら、とりあえず肥料やりは中止です。葉の色が薄い場合、成長が悪い場合、pH不適合によるものか、肥料不足によるものか、しっかり見極める必要があります。
pHはOKなのに、うまく育たないで、「DANGER」と表示される、という場合は、肥料過多が不調の原因だと考えられます。たくさん水やりして、一度洗い流すと良いと思います。
もちろん、苗を植え付けてすぐには、根が弱いので、肥料分の吸収も弱いものです。ここで辛抱しておけば、しばらくして根が伸び始めると、地上部も生き生きしてきます。
新しい培養土では、(上の2つとも)土壌塩分濃度は「NOR」( normal ? )でした。一つの目安として、信頼できそうです。
pH計でベランダ菜園を植物の楽園に
雨に当たらない屋根付きベランダ菜園で、「植える前に、とにかく苦土石灰を〇〇グラム」とやっていると、土はアルカリ化してしまいます。「△△日ごとに、肥料を〇〇グラム」なんてことを、やっていると、自動的に肥料過多となります。
私の過去の失敗も、pH不適合と、肥料過多の複合的な結果だったのだろうと思います。pHと肥料濃度をチェックしながら、植物の楽園を作っていきたいものです。
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